10周年を迎えた「Kura Master 2026」 フランスが選ぶ日本酒コンクールは何を変えたのか

フランス・パリで開催されている日本酒コンクール「Kura Master 2026」の受賞結果が、このほど発表されました。今年は記念すべき10周年大会となり、改めてこのコンクールの存在感の大きさが注目されています。

Kura Masterは2017年にスタートした、日本酒をはじめとする和酒を「フランス人が、フランス人の感覚で審査する」ことを特徴としたコンクールです。審査員は、フランスの五つ星ホテルのトップソムリエや、ミシュラン星付きレストラン関係者、MOF(フランス国家最優秀職人章)保持者など、欧州の食の第一線で活躍するプロフェッショナルたちで構成されています。

2026年大会では、日本酒部門が全9カテゴリーで実施されました。純米酒、純米大吟醸、大吟醸に加え、「クラシック酛」「古酒」「熟成酒」といった近年注目を集めるジャンルも独立部門化され、多様化する日本酒市場を反映した構成となっています。

審査の結果、プラチナ賞・金賞が発表され、さらにそこから「優秀賞」「審査員賞」が選出されました。今年は総出品数が1,252点に達し、日本酒単独でも大規模国際コンクールとしての地位を強めています。

今後の予定としては、9月30日に在フランス日本国大使公邸で授賞式が行われ、最高賞となる「プレジデント賞」が発表される予定です。ここで選ばれた酒は、その年の「フランス市場における象徴的日本酒」として大きな注目を集めます。

興味深いのは、Kura Masterがこの10年で明確に変化してきた点です。創設当初、このコンクールは「海外向けPRの場」という意味合いが強いものでした。しかし現在では、日本国内の酒蔵側が「フランス人の味覚」を意識した酒造りを行うまでになっています。つまり、日本酒を海外へ輸出するためのコンクールから、世界市場に通用する日本酒像を形成する場へと変化しているのです。その象徴が、「食中酒」としての評価軸でしょう。

Kura Masterでは、単純な香りの華やかさやスペック競争だけでなく、「料理との相性」が重視されます。これはワイン文化の本場であるフランスならではの考え方です。

その影響もあり、近年は酸味を活かした日本酒、低アルコールタイプ、クラシック酛、熟成酒など、従来の国内鑑評会では主流ではなかったタイプへの評価が高まっています。今回、古酒部門や熟成酒部門が強化されているのも、その流れの延長線上にあると言えるでしょう。

また、Kura Masterは単なる「賞レース」ではなく、日本酒教育の場としても機能しています。審査員たちは日本各地の酒蔵を訪問し、醸造文化や地域性を学ぶ研修を継続的に行っています。

これは非常に重要な点です。海外市場では、単に酒の味だけではなく、「背景にある物語」や「地域文化」が価値になります。Kura Masterは、日本酒を単なるアルコール商品ではなく、文化体験としてヨーロッパへ浸透させる役割を果たしてきたのです。

さらに今年は10周年記念として、世界的シェフであるYannick Allénoの参加や、新たな賞の創設も行われました。これは、日本酒がフランスのガストロノミー文化の中へ本格的に入り始めていることを象徴しています。

かつて日本酒は、「日本料理店で飲む特殊な酒」と見られることも少なくありませんでした。しかし現在では、フレンチとのペアリングや高級レストランでの採用が進み、「世界の食中酒」として再定義されつつあります。

Kura Masterの10年は、単なるコンクールの歴史ではありません。それは、日本酒が「国内文化」から「国際的食文化」へと変化していった10年でもあったのです。そして今後は、受賞そのものよりも、「どのような酒が世界で評価されるのか」という価値観の変化こそが、さらに重要になっていくのかもしれません。

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若者の直感が選ぶSAKE ~ フランスで始まる新たな日本酒コンテスト

フランス・パリで開催される欧州最大級の日本文化イベントJapan Expoにおいて、新たな日本酒コンテスト「SAKE POP」が誕生します(2026年7月9日〜12日)。2026年が初開催となるこの試みは、従来の品評会とは一線を画す特徴を持っています。最大のポイントは、審査員が専門家ではなく、来場した欧州の若者たちである点です。約800人規模の一般来場者が、ラベル、香り、味わいといったシンプルな基準で直感的に評価を行います。精米歩合や製法といった専門知識に依存しないこの形式は、「消費者がそのまま審査する」極めて市場志向のコンテストといえるでしょう。

この動きは、日本酒の海外展開が新たな段階に入っていることを象徴しています。これまで日本酒の国際的評価は、ソムリエや専門家によるコンテストが中心でした。たとえばInternational Wine ChallengeのSAKE部門などは、品質や技術力を評価する場として大きな役割を果たしてきました。しかし、今回の「SAKE POP」はその対極に位置します。つまり、「良い酒かどうか」ではなく「飲みたいと思うかどうか」が問われているのです。

背景には、海外における日本酒の位置づけの変化があります。かつて日本酒は、日本食とともに楽しまれる伝統的な酒として受け入れられてきました。しかし近年では、アニメや漫画といった日本文化への関心の高まりとともに、日本酒もまたクールジャパンの一部として認識され始めています。特にJapan Expoの来場者層は、日本文化に親しみを持つ若者が中心であり、彼らにとって日本酒は格式ある伝統酒というよりも、自由に楽しむポップな飲み物として映っている可能性があります。

この視点の変化は、日本酒の造り手にとって無視できない意味を持ちます。これまで国内市場や専門家評価を意識して磨かれてきた酒質が、必ずしも海外の若年層に響くとは限りません。分かりやすい香りや味わい、印象的なデザイン、さらにはストーリー性といった要素が、購買動機に直結する時代になりつつあります。今回のコンテストで重視される「直感」は、まさにそうした要素の総体といえるでしょう。

また、このような取り組みは、日本酒の輸出戦略にも影響を与える可能性があります。現在、日本酒は80カ国以上に輸出されるなど着実に市場を拡大していますが、その多くはまだ一部の愛好家や高級レストランに支えられている側面があります。今後さらに市場を広げるためには、より幅広い層、特に若い世代への浸透が不可欠です。「SAKE POP」のような場は、その入口として機能しうるのです。

一方で、課題も見えてきます。直感的な評価が主流となれば、伝統的な製法や繊細な味わいが正当に評価されにくくなる可能性もあります。日本酒の魅力は本来、多層的で奥深いものです。その価値をいかに分かりやすく伝えつつ、新しい市場の嗜好にも応えていくか。このバランスが、今後の大きなテーマとなるでしょう。

今回のフランスでの新コンテストは、単なるイベントの一つではありません。それは、日本酒が「評価される酒」から「選ばれる酒」へと変化しつつあることを示す象徴的な出来事です。欧州の若者たちの一杯が、これからの日本酒の未来を映し出しているのかもしれません。

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広がる日本酒の新しい飲み方~「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2026」結果発表

日本酒をワイングラスで楽しむという新しいスタイルを提案してきたコンテスト、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の2026年大会の結果がこのほど発表されました。このアワードは、日本酒の香りや味わいをより引き出す飲み方として「ワイングラス」を提案し、日本酒の新しい楽しみ方を広めることを目的に開催されているものです。2011年にスタートして以来、国内外から多くの銘柄が出品され、日本酒業界でも注目度の高いコンテストの一つとなっています。

今回の「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2026」でも、全国の酒蔵から多くの日本酒がエントリーしました。審査はソムリエや酒類の専門家、飲食関係者などによって行われ、ワイングラスで飲んだときの香りの広がりや味わいのバランスなどが評価されます。日本酒を従来の酒器ではなくワイングラスで味わうことを前提に審査するという点が、このアワードの最大の特徴です。

部門は、大吟醸酒や純米酒といったカテゴリーのほか、コストパフォーマンスを重視した部門や、プレミアムクラスなど複数に分かれており、それぞれの部門で金賞や最高金賞が選ばれました。出品数は年々増加しており、日本酒の多様化を反映する結果となっています。特に香りの華やかなタイプや、フルーティーな味わいの日本酒が高く評価される傾向があり、ワイン文化との親和性を感じさせる結果となっています。

このアワードが注目される理由の一つは、日本酒の飲み方を大きく変えた点にあります。かつて日本酒は、お猪口やぐい呑みで飲むのが一般的でした。しかしワイングラスを使うことで、香りが立ちやすくなり、果実のような香りや繊細なニュアンスがより感じやすくなります。特に吟醸系の日本酒では、その違いが顕著に表れるとされています。

こうした飲み方の提案は、日本酒の新しいファン層を広げるうえでも大きな役割を果たしてきました。ワインを日常的に楽しんでいる人にとって、ワイングラスで飲む日本酒は心理的なハードルが低く、入り口として機能するからです。実際、海外では日本酒をワイングラスで提供するレストランも増えており、日本酒の国際化とも深く関係しています。

また、このアワードは酒蔵側の酒造りにも影響を与えていると言われています。香りの表現や味わいのバランスなど、ワイングラスで飲んだときの印象を意識した酒造りが広がり、結果として日本酒のスタイルの多様化にもつながっています。つまりこのコンテストは、単なる品評会ではなく、日本酒文化の変化を象徴する存在でもあるのです。

日本酒を取り巻く環境は近年大きく変化しています。国内消費は長期的に減少傾向にある一方で、海外市場は拡大を続けています。その中で重要になるのは、日本酒の魅力をいかに分かりやすく伝えるかという点です。ワイングラスという世界共通の酒器を使う提案は、その意味でも非常に効果的なアプローチと言えるでしょう。

ワイングラスでおいしい日本酒アワードは、これからも日本酒の新しい価値を発見する場として続いていくとみられます。伝統的な酒器で楽しむ日本酒の魅力はもちろんですが、ワイングラスという視点から見ることで、日本酒の可能性はさらに広がります。今回発表された受賞酒の数々もまた、日本酒の多様な表情を示すものとして、多くの人の関心を集めていきそうです。

【ワイングラスでおいしい日本酒アワード 2026 最高金賞受賞酒】
メイン部門 1500
あさ開 純米酒 黄ラベル株式会社あさ開(岩手県)
伯楽星 特別純米 株式会社新澤醸造店(宮城県)
あたごのまつ 特別純米 株式会社新澤醸造店(宮城県)
純米酒鳳陽 合資会社内ヶ崎酒造店(宮城県)
燦爛 山廃純米 株式会社外池酒造店(栃木県)
越後鶴亀 純米 株式会社越後鶴亀(新潟県)
純米大吟醸 越後桜 越後桜酒造株式会社(新潟県)
國盛 彩華 大吟醸 中埜酒造株式会社(愛知県)
月桂冠 大吟醸 生詰 月桂冠株式会社(京都府)
Sweet Moment-極上の甘口- 大関株式会社(兵庫県)
浜福鶴 備前雄町 大吟醸 株式会社小山本家酒造灘浜福鶴蔵(兵庫県)
紀土 純米吟醸 平和酒造株式会社(和歌山県)
メイン部門 2000
六根 特別純米 株式会社松緑酒造(青森県)
陸奥八仙 特別純米 八戸酒造株式会社(青森県)
澤正宗 大吟醸 酔吟 古澤酒造株式会社(山形県)
澤正宗 純米大吟醸 雪女神48 古澤酒造株式会社(山形県)
福乃香 純米吟醸 ふ 笹の川酒造株式会社(福島県)
三春 純米吟醸原酒 三春酒造株式会社(福島県)
今錦 薄明 米澤酒造株式会社(長野県)
蓬莱 自然発酵蔵 純米大吟醸 有限会社渡辺酒造店(岐阜県)
福和蔵 純米酒 井村屋株式会社 福和蔵(三重県)
宮の雪 純米吟醸 山田錦 株式会社宮崎本店(三重県)
作 穂乃智 清水清三郎商店株式会社(三重県)
初陣 純米吟醸酒 古橋酒造株式会社(島根県)
燦然 純米吟醸 山田錦 菊池酒造株式会社(岡山県)
鳴門鯛 純米吟醸 巴 株式会社本家松浦酒造場(徳島県)
スパークリングSAKE部門
蛍舞 ポップスパークリング 東酒造株式会社(石川県)
スパーク・リ・ヴァン 千曲錦酒造株式会社(長野県)
生酒部門
人気一凍眠純米大吟醸 人気酒造株式会社(福島県)
蓬莱 酵母祭り記念酒 有限会社渡辺酒造店(岐阜県)
蓬莱 槽場直詰め おりがらみ 無濾過生原酒 有限会社渡辺酒造店(岐阜県)
仙介純米吟醸おりがらみ無濾過生酒原酒 泉酒造株式会社(兵庫県)
白雪 純米吟醸酒 生原酒 氷温熟成 小西酒造株式会社(兵庫県)
桂月 CEL24 純米大吟醸 50 生酒 土佐酒造株式会社(高知県)
プレミアム大吟醸部門
爛漫 純米大吟醸 環稲 一穂積 秋田銘醸株式会社(秋田県)
福乃友 Fukunotomo DE Fukunotomo 純米大吟醸生 福乃友酒造株式会社(秋田県)
美禄 長者盛 新潟銘醸株式会社(新潟県)
七笑 大吟醸 銀華 七笑酒造株式会社(長野県)
純米大吟醸 我山 鶴見酒造株式会社(愛知県)
大吟醸 山荘 鶴見酒造株式会社(愛知県)
福和蔵 純米大吟醸 井村屋株式会社 福和蔵(三重県)
宮の雪 純米大吟醸 山田錦 株式会社宮崎本店(三重県)
作 陽山一滴水 清水清三郎商店株式会社(三重県)
作 槐山一滴水 清水清三郎商店株式会社(三重県)
超特撰白雪純米大吟醸萬歳紋(原酒) 小西酒造株式会社(兵庫県)
空蔵 愛山純米大吟醸 株式会社小山本家酒造 灘浜福鶴蔵(兵庫県)
天美 純米大吟醸 播州愛山 長州酒造株式会社(山口県)
NIKITATSU 仁喜多津 純米大吟醸酒 水口酒造株式会社(愛媛県)
純米大吟醸 光武 合資会社光武酒造場(佐賀県)
プレミアム純米部門
六根 純米吟醸 吟烏帽子 株式会社松緑酒造(青森県)
蓬莱 純米吟醸 社外秘の酒 有限会社渡辺酒造店(岐阜県)
shirakiku MIRROR MIRROR 白杉酒造株式会社(京都府)
日本酒 白牡丹 特別純米酒 ピオン 白牡丹酒造株式会社(広島県)
和香牡丹 宵花 三和酒類株式会社(大分県)
プレミアム熟成酒部門
麒麟 時醸酒 Vintage2001 たかね錦 下越酒造株式会社(新潟県)
夢乃寒梅 古酒2000 鶴見酒造株式会社(愛知県)
プレミアムスパークリングSAKE部門
神蔵KAGURA 露花 スパークリング 無濾過・無加水 松井酒造株式会社(京都府)
司牡丹 Delight 司牡丹酒造株式会社(高知県)
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新設日本酒コンテスト「シェフが選ぶ美酒アワード2026」が示す新たな日本酒の評価軸

第6回「美味アワード2026」において、新設された「シェフが選ぶ美酒(日本酒)」部門の審査結果が発表され、1月17日に授賞式がありました。本部門は、料理人の視点から日本酒を評価するという点で、従来の日本酒コンクールとは一線を画す取り組みであり、日本酒の価値を料理との関係性から再定義する試みとして注目を集めています。

今回、最高評価となる三ツ星には、料理ジャンルごとに以下の4本が選出されました。

【和食】宮尾酒造「〆張鶴 純 純米吟醸」
【フレンチ】岩瀬酒造「岩の井 i240 純米吟醸 五百万石」
【イタリアン】一ノ蔵「Madena」
【中華】出羽桜酒造「出羽桜 貴醸酒 MATURED」

これは、各ジャンルの料理人がブラインド審査のもと、「自らの料理とのマッチングにおいて価値がある」と認めた日本酒であるという点に意味があります。本部門が設けられた背景には、料理とのペアリング価値そのものを評価軸とする意図があることが公表されています。審査では、各料理に対して相性のよい酒かどうか、ストーリー性や飲食店での導入しやすさなど多角的な視点が採り入れられており、単純な香味の優劣のみならず、料理との関係性を重視して選定されたことが強調されています。

ところでこの審査は、日本酒がもはや「和食専用の酒」ではなく、世界の料理と並走できる存在であることを、極めて説得力をもって示しています。フレンチやイタリアン、中華といったジャンルにおいて、ワインの代替ではなく、日本酒ならではの選択肢として評価された意義は小さくありません。

また、この部門の創設は、造り手にとっても大きな示唆を与えます。これまでの日本酒評価は、どうしても香味の完成度や技術的精度に重きが置かれてきました。しかし今回の審査は、「どの料理と、どのように寄り添うか」という実用的かつ市場志向の視点を強く打ち出しています。これは、日本酒が飲食店や家庭の食卓で、より具体的に選ばれる時代に入ったことを象徴しているといえるでしょう。

さらに、料理人が評価主体となることで、日本酒と料理の関係性が一方通行ではなく、双方向の創造へと発展する可能性も見えてきます。酒に合わせて料理を考えるだけでなく、料理に合わせて酒を選び、酒に合わせて料理を再構築するという、新たな食文化の循環が生まれる土壌が整いつつあります。

総じて、「シェフが選ぶ美酒(日本酒)」部門の創設と、その三ツ星受賞結果は、日本酒の価値を『味の優劣』から『食体験の完成度』へと引き上げる重要な一歩であります。今回選ばれた4本は、単なる受賞酒ではなく、日本酒が世界の料理と並ぶ時代の象徴的存在といえるでしょう。

この評価軸が今後定着していけば、日本酒はさらに多様な食の現場へと浸透し、国境やジャンルを超えた存在として、新たな進化を遂げていくことが期待されます。

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「一本の評価」から酒蔵の本質へ――世界酒蔵ランキングが示す日本酒評価の現在地

年も押し迫った12月、2025年の「世界酒蔵ランキング」が発表され、株式会社新澤醸造店が、4年連続となる第1位を獲得しました。このランキングは、特定の銘柄や話題性を競うものではなく、一本一本の日本酒に対する専門家の評価を積み重ね、その集合体として酒蔵を評価するという、極めて特徴的な思想に基づいています。

世界酒蔵ランキングでは、国内外で開催される主要な日本酒コンテストや鑑評会における受賞・入賞実績をポイント化し、酒蔵単位で集計します。評価の起点はあくまで「一本の酒」であり、審査はブラインドテイスティングが基本です。そこには、知名度や規模、販売力といった要素が入り込む余地はほとんどありません。つまりこのランキングは、「どの酒蔵がうまい酒を継続的に造っているか」を、結果として浮かび上がらせる仕組みなのです。

世界酒蔵ランキングの歩みと評価軸の変化

世界酒蔵ランキングは2019年に始まりました。日本酒コンテストの国際化が進む一方で、「どの酒蔵が本当に評価されているのか」を横断的に示す指標が存在しなかったことが、その背景にあります。

従来の評価は、「この酒が金賞を取った」「あの銘柄が話題になった」といった点の評価に留まりがちでした。しかしランキングという形で実績を集積することで、「酒質の安定性」「カテゴリーの幅」「年ごとの再現性」といった、酒蔵としての総合力が可視化されるようになりました。

これは、単発的なヒットではなく、造り手の思想や技術が酒質にどう反映され続けているかを見る評価軸であり、日本酒の成熟を象徴する取り組みとも言えます。

新澤醸造店が示す「積み上げ型」の強さ

2025年のランキングで再び首位に立った新澤醸造店は、このランキングの思想を最も体現している酒蔵の一つです。「伯楽星」「愛宕の松」を中心に、食中酒としての完成度、繊細さ、再現性の高さが国内外で高く評価されてきました。

同社の強みは、突出した一本に依存しない点にあります。特定名称や価格帯を問わず、出品された複数の酒が安定して評価され、その結果としてポイントが積み上がる。この「平均値の高さ」こそが、新澤醸造店の真の競争力と言えるでしょう。

また、国際的なコンテストでの評価を強く意識しながらも、流行や過度な個性に依らず、料理とともに飲まれる酒の在り方を追求してきた姿勢は、一本一本の評価を尊重するランキングとの親和性が非常に高いものです。

ランキングが示す日本酒評価の次のフェーズ

世界酒蔵ランキングの意義は、順位そのものにあるのではありません。「一本の酒を真剣に評価することが、結果として酒蔵の哲学や姿勢を映し出す」という考え方を、業界と消費者の双方に提示している点にあります。

国内市場が縮小する中では、日本酒を『理解される酒』へと昇華させることが重要です。その際、こうした積み上げ型の評価指標は、海外市場においても信頼の拠り所となります。

新澤醸造店が示したスタンスは、ランキング1位という結果以上に、「評価され続ける酒を、淡々と造り続ける」という姿勢そのものです。世界酒蔵ランキングは、そうした酒蔵の在り方を静かに、しかし確かに照らし出しています。

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北米最大級ワインコンクール「Sélections Mondiales des Vins 2025」日本酒部門の結果が発表される

Sélections Mondiales des Vins(セレクシオン・モンディアル・デ・ヴァン、略称:SMV)は、ワインの国際的な品評会として、カナダのモントリオールで毎年開催されています。その歴史は長く、1983年に第1回が開催されて以来、北米で最も権威あるワインコンペティションの一つとして確固たる地位を築いてきました。

世界におけるSMVの位置付けと日本酒部門

SMVは、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)と世界ワイン・スピリッツ・コンペティション連盟(VINOFED)の公認を得ていることが最大の特徴です。この公認は、審査の公平性、透明性、そして厳格な基準が国際的に認められている証であり、世界最大級のワインコンペティションとしての信頼性と威信を裏付けています。受賞歴は、世界市場におけるブランドの認知度向上と販売促進に直結するため、世界中の生産者が注目の的としています。

そのSMVは長年、ワイン部門のみで開催されてきましたが、昨年(2024年)から新たに日本酒(Sake)部門が開設されました。この背景には、世界市場、特に北米市場における日本酒人気の爆発的な高まりがあり、下記のような点を考慮してのことです。

【グローバルな食文化の変化】和食がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、日本食への関心が高まり、それに伴い日本酒の需要が増加しているため。

【多様な飲用機会】日本酒が、和食だけでなくフレンチやイタリアンといった多様な料理と合わせる酒として認識され始めているため。

【コンペティションの包括性】市場の変化に対応し、国際的な酒類コンペティションとしての包括性を高めるため。

この部門開設は、日本酒が単なる日本のローカルな酒から、世界的な高級酒としての地位を確立する上で、極めて重要なターニングポイントとなっています。

Sélections Mondiales des Vins 2025 日本酒部門の最高金賞

このSMVでは、国際審査員による厳正なブラインドテイスティングで、「GRAND OR/GRAND GOLD(最高金賞)」「OR/GOLD(金賞)」「ARGENT/SILVER(銀賞)」が決まります。今年は10月8日から10月11日にかけて開催され、日本酒部門における「GRAND OR/GRAND GOLD(最高金賞)」は下記5銘柄が選ばれました。なお、「作 槐山一滴水」は、審査員特別賞にも選ばれています。

GRAND OR作 槐山一滴水清水清三郎商店株式会社
GRAND OR作 恵乃智清水清三郎商店株式会社
GRAND OR超特選純米大吟醸 残響 Super7株式会社新澤醸造店
GRAND OR一ノ蔵 純米大吟醸 松山天株式会社一ノ蔵
GRAND OR天明 純米火入 オレンジの天明曙酒造株式会社

▶ Sélections Mondiales des Vins

▶ 作 槐山一滴水|北米最大級のコンクールで最高金賞。プレミアム日本酒

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グランプリは山口の名酒「五橋」──世界が注目する日本酒コンテスト「MONACO SAKE AWARD 2025」

2025年10月6日、モナコ公国の名門施設「Yacht Club de Monaco」にて開催された「MONACO SAKE AWARD 2025」において、山口県は酒井酒造株式会社の「純米大吟醸 錦帯五橋」がグランプリに輝きました。このコンテストは、モナコと日本の文化交流を目的に始まった国際的な日本酒コンクールであり、世界中の美食家やソムリエが審査に参加することで知られています。

MONACO SAKE AWARDの国際的な位置づけ

MONACO SAKE AWARDは、単なる品評会ではなく、日本酒の国際的な認知度向上と市場拡大を目的とした文化的イベントです。審査員にはモナコ在住の宮廷シェフや一流ホテルのソムリエなどが名を連ね、地中海の美食都市モナコで開催されることで、フランスやイタリアなど欧州の食文化との融合が試され、日本酒の新たな可能性が探求されます。

特に今年のマリアージュ賞のテーマは「モッツァレラチーズ」であり、日本酒と西洋食材の相性を評価するユニークな試みが注目を集めました。これは、海外市場における日本酒のポジショニングを強化するうえで重要な指標となります。

今回のグランプリ受賞で、「五橋」の酒井酒造にとっては、海外の一流レストランやホテルでの採用が期待されるほか、輸出拡大やブランド価値の向上につながると見られます。それは、国際的な評価を得る大きな機会となるだけでなく、審査結果が酒造りの現場にフィードバックされることで、日本酒業界全体にも好影響を与えるはずです。

▶ 純米大吟醸 錦帯五橋|モナコ・サケ・アワードの最高賞に輝いた日本酒

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「Oriental Sake Awards 2025」の最高賞が決まる──アジア市場が示した次の日本酒基準

アジア最大級の日本酒コンテストとして知られる「Oriental Sake Awards 2025」(以下 OSA)において、最高賞「サケ・オブ・ザ・イヤー」に新澤醸造店(宮城県大崎市)の「あたごのまつ 鮮烈辛口」が選ばれました。アジア全域から集まった審査員によるブラインド審査を経て決まるこの賞は、その年を代表するたった一本の日本酒に贈られる栄誉です。本醸造酒である同銘柄が、アジアの大規模市場で最も高い評価を獲得したことは、日本酒の未来に大きな意味を持ちます。

アジア市場で求められる食中酒としての完成度

OSAは香港を拠点とし、アジアに広がる日本酒ファン・飲食店・ホテル・輸入事業者から高い注目を集める国際日本酒コンテストです。アジアは現在、世界で最も日本酒消費が増えている地域であり、日本酒の新たな市場を形成する存在になっています。そこで最高賞に選ばれたということは、単に品質の高さだけでなく、「アジアの食文化に適応し、現地で愛される可能性が最も高い酒」として評価されたことを意味します。

「あたごのまつ 鮮烈辛口」は、キレのある辛口設計に加え、柔らかな米の旨味がバランスよくまとまり、食中酒としての対応力が非常に高い日本酒です。–5℃での氷温貯蔵によるクリアな味わいが保たれている点も評価され、寿司や日本料理はもちろん、東南アジアのスパイス料理や中華料理との相性も自然と高まります。国や文化を超えてペアリングの幅が広がることが、アジア市場で強く支持された理由の一つといえるでしょう。

本醸造の価値がアジアで再定義される

今回の最高賞には、もうひとつ重要な視点があります。それは、「本醸造」というカテゴリーがアジア市場において高く評価された点です。日本国内では純米・吟醸系が注目されがちですが、アジアでは日常酒としての飲みやすさや、料理に寄り添う万能性が求められ、本醸造の持つ「軽快さ」や「キレ」が強い武器になります。

OSAという大舞台で本醸造酒が頂点に立ったことは、日本酒の国際展開において「高価格帯・華やかさ」だけが評価軸ではないという、新たなメッセージでもあります。「毎日の食卓に合わせやすい味」こそが、アジアの日本酒需要を押し上げる原動力であることを示した結果といえます。

アジア発の評価が日本酒の未来を動かす

日本酒の輸出額の伸びをけん引しているのは中国・台湾・香港・シンガポール・タイなど、アジアの国々です。こうした市場では、現地の味覚や酒類文化を踏まえながら、その土地で選ばれる酒であるかどうかが重要になります。

OSAはまさにその指標となるコンテストであり、そこで最高賞を受けたということは「あたごのまつ 鮮烈辛口」がアジアで最も伸びる潜在力を持った銘柄であると評価されたに等しいのです。今後、アジアの飲食店やラグジュアリーホテルで採用が進む可能性も高く、海外販路の拡大に直結する成果となるでしょう。

地域の蔵からアジアの『日常酒』へ

「あたごのまつ 鮮烈辛口」の受賞は、地方の蔵元が生み出す「日常に寄り添う酒」が、アジアの巨大市場へと橋を架けた瞬間でもあります。華やかさではなく、食卓に溶け込む味わいが選ばれたことは、日本酒文化が次の段階へ進みつつあることを示しています。

アジア最大級のコンテストで生まれたこの結果は、これからの日本酒の海外展開において大きな指標となり、さらなる市場拡大と文化交流の鍵を握るものになるでしょう。

▶ アジア最大級の日本酒コンテスト「Oriental Sake Awards 2025」

▶ あたごのまつ 鮮烈辛口|アジア最大級の日本酒コンテストで最高賞を獲得

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福山雅治ゆかりの名酒「残響」がルクセンブルク酒チャレンジ2025最高賞受賞

10月28日、国際日本酒品評会「ルクセンブルク酒チャレンジ2025」にて、新澤醸造店 の「超特選 純米大吟醸 残響 2024」が、最高賞にあたる「Best Award」に選出されたことが明らかになりました。なお、本コンテストのプラチナ/金/銀賞の受賞結果は、6月17日付で既に発表されており、最高賞の発表は10月末日としていたものです。

コンテストの特徴と意義

「ルクセンブルク酒チャレンジ」は、2022年に第1回が開催され、ヨーロッパにおける日本酒の魅力を発信し、新たな市場開拓を目的とした国際日本酒品評会です。本コンテストの主な特徴は以下の通りです。

  • 審査員にはヨーロッパ各国で活動する「酒ソムリエ」やホテル・レストランの専門家が含まれ、日本酒の香り・味わいだけでなく「現地の料理とのペアリング適性」も評価ポイントとなっています。
  • 審査基準においては、外観、香り、味わい、調和、パッケージの優雅さなど多角的に評価されており、単純な技術醸造だけでなく市場適合性を重視している点が注目されます。
  • ルクセンブルクを拠点に、ベルギー・ドイツ・フランスといった欧州主要市場にアクセスできることから、日本酒の欧州市場参入における「重要な入り口」として位置づけられています。

こうした特色をもつ本コンテストにおいて、最高賞を獲得することは、単なる受賞にとどまらず、対外的な評価・ブランド発信の大きな転機となるものです。

「残響」が示した新しい日本酒の姿

今回、最高賞を受けた「残響」は、単なる技術的な到達点を超えた、日本酒文化の象徴的存在です。その誕生は2009年。新澤醸造店の蔵元と、俳優でありミュージシャンでもある福山雅治氏との親交から生まれました。当時、世界最高とされた精米歩合7%という前人未踏の挑戦から誕生したものです。

以後、「残響」は国内外の主要コンテストで数々の受賞を重ねてきました。ロンドン酒チャレンジやIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門では、ワインの専門家たちから「最も繊細で詩的な日本酒」と評され、すでに国際的評価を確立していました。今回、欧州の中心地であるルクセンブルクで最高賞に選ばれたことは、世界の味覚の一部として認められた象徴的な出来事と言えるでしょう。

それはまた、「残響」が体現する『磨きの哲学』が、欧州の審査員の深い共感を呼び込んだということでもあります。単なる技術競争ではなく、素材と向き合い、心を込めて限界まで磨き抜く姿勢――それはクラフトマンシップと精神性を重んじるヨーロッパの文化とも響き合います。その意味で、今回の最高賞は日本酒が文化として成熟し、共感の言語を世界と共有し始めたことを象徴しています。

この受賞によって、「残響」は再び世界の舞台で脚光を浴びました。今回の受賞を契機に、「残響」は単なるプレミアム日本酒を超え、日本酒の芸術的到達点として国際市場で新たな価値を創出していくはずです。そしてその余韻は、まさに名の通り、世界中の酒席に静かに、しかし確かに響き続けていくことでしょう。

▶ 残響|熟成しても燗にしても美味いプレミアム日本酒

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女性審査員が選ぶ美酒コンクール2025『吟天 龍王』が日本酒界の頂点に

今年3回目を迎えた『第3回 美酒コンクール 2025』の審査概要および結果が公表され、「吟天 龍王」(小田切商事株式会社/兵庫県)が、最高賞である「美酒 of the Year 2025」に輝きました。主催の 一般社団法人『日本のSAKEとWINEを愛する女性の会』は、「香り・味わい」という感性を切り口に、女性審査員のみで審査を行う新しい日本酒コンクールとして注目を集めています。

▶ 『女性審査員による日本酒コンクール』ホームページ

今回、国内外から127社293アイテムが出品され、審査員数も海外からの参加者を含め165名に及びました。審査方式も一般的な「特定名称」別ではなく、香りと味わいの特徴に応じて分類された全6部門(フルーティー/ライト&ドライ/リッチ&旨味/エイジド<熟成酒>/スパークリング/ロウ・アルコール)で構成され、酒類資格を保有する『正規審査員』と、一般女性の『アマチュア審査員』の両輪でブラインド・テイスティング形式の評価が行われました。

本コンクールが掲げる三つの理念――「日本の伝統文化の継承」「地域経済の活性化」「女性が活躍する社会の実現」――もあわせて強く打ち出され、特に女性審査員による審査という構造が、これまで日本酒コンクールであまり見られなかった女性の感性を活かした評価基準を提示しており、新たな価値づくりの場となっています。

今回「美酒 of the Year 2025」に選定された『吟天 龍王』は、エイジド(熟成)部門の金賞受賞酒でもあり、熟成という時間を経た酒の深み、香味の重層性、果実的なアロマとコクのバランスなどが、女性審査員の評価軸と好相性を示した結果と言えるでしょう。

今後このコンクールを展望すると、香味を起点とした部門構成によって「自分好みの味わいを選ぶ」消費者動線の構築が進む可能性があります。蔵元にとっても、女性審査員のコメントやアマチュア消費者の意見をマーケティングに活かす機会が増えており、酒造りのブランディングや流通展開にも新たなヒントをもたらしています。たとえば、銘柄ラベルに香味部門を明示することで、消費者にとって敷居の低い選びやすい日本酒となる可能性が開けてきています。

まとめると、第3回となる今回の美酒コンクールは、出品数・審査員数ともに規模を固めつつ、従来の枠を超えた女性審査・香味別部門という切り口で日本酒ジャンルに新風を吹き込みました。そして、その最高賞に選ばれた『吟天 龍王』の受賞は、熟成日本酒の魅力が改めて女性の審美眼によって讃えられた象徴とも言えます。今後、全国各地の蔵元がこの評価制度を刺激源とし、より多彩な味わいを表現していくことが期待されます。

美酒 of the Year 2025
(エイジド部門)吟天 龍王小田切商事兵庫県
TOP OF THE BEST
フルーティー部門作 槐山一滴水清水清三郎商店三重県
ライト&ドライ部門赤城山 本醸造辛口生貯蔵酒近藤酒造群馬県
リッチ&ウマミ部門萬歳楽 石川門 純米 小堀酒造店石川県
エイジド部門夢乃寒梅 古酒 2000鶴見酒造愛知県
スパークリング部門琵琶のささ浪リンゴ印スパークリング麻原酒造埼玉県
ロウ・アルコール部門賀茂泉酒造 COKUN賀茂泉酒造広島県
特別賞
ソムリエ賞CatskillsBrooklyn Kuraアメリカ
客室乗務員/CA賞天賦 純米吟醸西酒造鹿児島県
アマチュア賞越乃雪椿 Grand-Cuvée 純米大吟醸原酒雪椿酒造新潟県
ラベル賞吟天 花龍小田切商事兵庫県

▶ 大吟醸も純米酒も同じ土俵で――美酒コンクール2025の入選酒発表を受けて

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