リゾット専用米で日本酒を醸す ~ 「OKITA9241」が切り開く新たな食文化

「リゾット専用米で日本酒を造る」。そんなユニークな発想から生まれた日本酒「OKITA9241」の2025ヴィンテージが発売され、注目を集めています。広島県三原市の道の駅「よがんす白竜」と醉心山根本店が共同開発したこの純米酒は、リゾット専用米「和みリゾット」を100%使用した異色の一本です。精米歩合は90%。米の個性をあえて残し、その年、その土地ならではの味わいを表現することを目指しています。商品名の「OKITA9241」は、原料米を栽培した田んぼの地番に由来しており、毎年同じ田んぼで育った米だけを使うことで、ワインのようなヴィンテージやテロワールの考え方を日本酒に取り入れています。

今回、最も興味深いのは、「リゾット専用米」という選択です。リゾット専用米は、炊飯してそのまま食べることを目的とした米ではありません。アルデンテのような適度な歯応えを保ち、スープやソースを吸い込みながらも粒が崩れにくいという性質を持っています。そのため、一般的な日本米とは粘りやデンプンの特性が異なります。

こうした米を日本酒造りに用いる例は極めて珍しく、日本国内でもほとんど前例がありません。海外ではイタリア米を使ったクラフト酒や実験醸造が話題になったことはありますが、いずれも試験的な意味合いが強く、継続的なブランドとして育てられたケースは多くありません。

その中で「OKITA9241」は、単なる話題づくりではなく、数年にわたってヴィンテージを重ねながら商品として磨き上げられてきました。この点が、従来の実験的な取り組みとは大きく異なります。

実際、この酒を味わった人からは、「爽やかな酸味が料理に合わせやすい」「ワインのような食中酒として楽しめる」「リゾットやチーズ料理との相性が非常に良い」といった評価が見られます。一方で、「日本酒らしい甘みや旨味を期待すると少し印象が違う」という声もありました。

しかし、それは決して欠点ではありません。むしろ「日本酒とはこうあるべき」という固定観念から離れ、新しい楽しみ方を提案している証とも言えるでしょう。考えてみれば、リゾット専用米から生まれた酒が、リゾットに合うというのは、とても自然なことです。同じ米から生まれた料理と酒が、お互いの個性を引き立て合う。この発想は、日本酒を単独で味わうものではなく、料理とともに楽しむ文化へと導いてくれます。

近年、日本酒は海外市場で「ライスワイン」として紹介されることも多く、和食だけではなくイタリアンやフレンチとのペアリングが盛んに提案されています。「OKITA9241」は、その流れを象徴するような一本と言えるでしょう。リゾット専用米を使うことで、日本酒とイタリア料理をより自然につなぎ、新しい食文化を提案しているのです。

さらに、この商品は田んぼまで特定し、毎年同じ場所で育った米だけを使用しています。ワインでは当たり前になっている「畑の違いを楽しむ」という考え方を、日本酒でも実現しようという試みです。原料米だけでなく、その土地、その年の気候、その収穫の違いまで味わう。日本酒の楽しみ方は、ここまで広がろうとしています。

「OKITA9241」は、リゾット専用米という珍しい原料を使った日本酒というだけではありません。その背景には、「料理との調和」「地域の個性」「ヴィンテージ」という複数の価値が重ねられています。

リゾット専用米で酒を造るという発想は、一見すると奇抜にも思えます。しかし、その目的は話題性ではなく、日本酒の可能性を広げることにあります。伝統を守るだけではなく、新しい食文化を生み出そうとする挑戦だからこそ、この取り組みは今後も多くの人の注目を集めていくのではないでしょうか。

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