山口県岩国市に本社を置く株式会社獺祭は、プレミアム日本酒専用の新製造場建設計画を正式に発表いたしました。同社はこれまで国内外で高い評価を得てきた獺祭ブランドのさらなる品質向上と、世界市場での高価格帯酒の需要拡大を見据え、新たな一歩を踏み出します。
近年、獺祭ブランドは海外での存在感を強めており、2025年12月に発表された最新の経営状況では、輸出売上が前年比で約4割増となったことが明らかになりました。主要な輸出先である中国や米国を中心に、日本酒ブランドとしての信頼性と認知度が着実に高まっています。こうした実績を背景に、獺祭は単なる数量拡大ではなく、高価格帯・高付加価値商品の開発と供給体制の強化に取り組む意向です。
また、世界的な日本酒市場そのものも堅調な成長が見込まれています。2024年のデータでは、清酒の総輸出額が過去最高となり、80か国以上へ輸出が拡大したことが報告されており、プレミアム酒への需要が広がっていることがうかがえます。欧米の高級レストランやワイン市場との競合環境において、日本酒が選択肢として認知されつつある現状は、新たな市場機会を生む追い風となっています。
こうした背景を踏まえ、旭酒造は本社近郊にて高級酒専用の製造場(プレミアムブリュワリー)を新設する計画を進めています。新製造場は、伝統的な技術と最新の醸造設備を融合させた施設となり、特に原料選定や精米歩合の極限まで追求した純米大吟醸酒を中心とした高価格帯商品群の生産に特化する予定です。品質管理の徹底はもちろん、気候や水質などの微細な環境変化にも対応できる最新鋭の醸造ラインを導入することで、「究極の日本酒体験」を提供することを目指します。
獺祭が既に展開している高価格帯シリーズには、厳選した山田錦を極限まで磨いた製品や、海外のオークションで高値を記録した限定酒などがあり、その価値は国内外で高く評価されています。これらの経験と技術を活かしながら、新製造場ではさらに一歩進んだ品質基準を設け、「獺祭 Beyond」といった 世界の高級酒市場で競争力のあるブランドラインの強化を進める方針です。
獺祭の蔵元は、「世界の日本酒市場は、単に数量を追う段階から、真の味わいと体験を求める消費者層へと転換しています。 獺祭としては、この変化をチャンスと捉え、ブランドとしての価値をさらに高めるために、新たな生産基盤を確立したい」とコメントしています。
この新製造場の完成は2028年春を予定しており、稼働が始まると同時に、国内外のコンテストや高級市場への出品を積極的に進める計画です。獺祭ブランドはこれまでも、品質第一の姿勢で多くの支持を集めてきましたが、この施設建設によって、「獺祭=世界が認めるプレミアム日本酒」というブランドポジションを一段と強固なものにする狙いです。
加えて、世界市場の成長予測は日本酒全体にとって追い風であり、特に高級品に対する需要は今後も増加が期待されています。こうした潮流の中で、獺祭が新たに構える製造場は、日本酒文化を再定義し、世界の高級酒市場における存在感をさらに高める重要な施設となるでしょう。



まず注目されるのは、温度上昇による揮発性成分の変化です。日本酒にはリンゴ酸、コハク酸、乳酸などの有機酸や、酢酸イソアミル、カプロン酸エチルといった香気成分が含まれています。これらは温度が上がると揮発しやすくなり、香りの立ち方に大きな影響を与えます。特に酢酸イソアミルなどの「吟醸香」と呼ばれるフルーティーな成分は低温で感じやすい一方、燗をつけることでアルコール由来の香りや米のうま味を想起させる成分が前面に出やすくなります。そのため、吟醸酒よりも純米酒や本醸造酒が燗酒と相性がよいとされる理由が、科学的にも裏付けられつつあります。