伝統と革新の融合:新政酒造が拓く日本酒の未来

おいしい日本酒が見つかる最新トレンドと飲み方ガイド日本酒業界に新たな風を吹き込み続ける秋田県の「新政酒造」が、またしてもその革新性を示しました。2013年に全量木桶仕込みへと舵を切り、日本酒の原点回帰を掲げてきた同社が、この度、自社敷地内に「木桶工房」を完成させ、2025年8月から本格稼働させると発表しました。この動きは単なる設備投資に留まらず、日本酒の伝統技術の継承と、現代的なテクノロジーの融合という、新政酒造ならではの文化的意味合いを深く含んでいます。

新政酒造は、自社で生まれた六号酵母の活用や白麹の使用など、常に日本酒の既成概念を打ち破る挑戦を続けてきました。その一方で、彼らが一貫して追求してきたのは、日本酒が本来持っていた多様性と深遠な魅力の再構築です。特に、かつて主流であった木桶による酒造りへの回帰は、その思想を象徴するものでした。ホーローやステンレスのタンクが主流となった現代において、木桶仕込みは手間とコストがかかる非効率な方法と見なされがちです。しかし、新政酒造は、木桶が持つ独特の微生物叢が酒にもたらす複雑な風味と深み、そして自然の摂理に則った発酵の妙を重視し、あえて困難な道を選びました。

そして今回、その木桶造りの技術までも自社で手掛ける「木桶工房」の完成は、新政酒造の「本気度」を何よりも雄弁に物語っています。全国的にも僅かとなった木桶職人の高齢化と減少は、日本酒業界が抱える深刻な課題の一つでした。このままでは、木桶による酒造りという貴重な文化遺産が失われてしまうかもしれない―― 新政酒造は、この危機感を単なる傍観者としてではなく、当事者として受け止め、「木桶職人復活プロジェクト」と銘打ち、自らその担い手となることを決断したのです。

この木桶工房では、新政酒造が使用する木桶を自社で製造するだけでなく、将来的には他社からの受託生産も視野に入れていると言います。これは、単に自社の酒造りに必要な道具を内製化するだけでなく、木桶造りの技術そのものを次世代に継承し、日本酒業界全体の活性化に貢献しようとする、極めて崇高な目的のためです。伝統技術の継承という点において、彼らは単なる守り手ではありません。秋田県が誇る良質な秋田杉を積極的に活用し、その特性を最大限に引き出すことで、木桶そのものの進化をも試みようとしています。これは、地域資源の活用と、伝統技術の現代的な再解釈という、まさに「地域創生」と「文化創造」が一体となった取り組みです。

新政酒造の真骨頂は、伝統への深い敬意と、テクノロジーに対する果敢な探求心の両立にあります。彼らは伝統的な木桶仕込みに回帰しながらも、同時に緻密なデータ分析や最新の研究成果を積極的に取り入れ、酒造りのプロセスを科学的に解明しようと試みてきました。今回の木桶工房も、単に手作業で木桶を作るだけでなく、最適な木材の選定、組み上げの技術、そして木桶内の微生物環境の管理に至るまで、様々な知見と技術が投入されることでしょう。これはまさに、アナログとデジタルの融合、伝統と革新の調和という、現代社会が直面する多くの課題に対する一つの回答を提示しているかのようです。

新政酒造の木桶工房は、単なる生産設備以上の意味を持ちます。それは、失われつつある日本の文化と技術を次世代に繋ぐ「架け橋」であり、また、伝統を深く理解することでこそ生まれる真の「革新」を象徴する存在です。テクノロジーの最先端を切り開きながらも、日本酒の根源的な魅力を追求し続ける新政酒造の挑戦は、これからも日本酒の未来を、そして日本の発酵文化の未来を、明るく照らし続けるに違いありません。この木桶工房から生み出されるであろう新たな酒と、そこから派生するであろう文化的な潮流に、私たちは期待せずにはいられません。

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福光屋「KAGATOBIハイボール」が切り拓く日本酒新境地! 14年を経て復活した「酒ハイ」

日本酒の老舗蔵元、株式会社福光屋(石川県金沢市)は、来る8月5日の全国販売に先駆け、7月15日より「KAGATOBI ハイボール」の北陸地区先行販売を開始しました。伝統ある「加賀鳶」ブランドの名を冠したこの新商品は、アルミボトル缶入りの日本酒ハイボールという、まさに現代の飲酒スタイルにフィットする形で、再び日本酒市場に新風を吹き込んでいます。

実は、福光屋は2010年にも同様のコンセプトを持つ商品「福光屋 酒炭酸」を発売していました。当時、一部の日本酒ファンからは「日本酒の邪道」「本来の味わいを損なう」といった厳しい声も聞かれ、その先進性ゆえに市場に完全に浸透するには至りませんでした。しかし、それから14年の時が流れ、日本酒に対する捉え方は大きく変化しています。

近年、多様なアルコール飲料が市場に出回る中で、「酒ハイ」と呼ばれる、日本酒を炭酸で割るスタイルが、特に若年層や日本酒ビギナーを中心に注目を集めています。日本酒本来の味わいを楽しみつつも、より軽快で爽やかな飲み口が、気軽に楽しめる点として評価され始めたのです。かつて「邪道」とされた飲み方が、今や「新しい楽しみ方」として、受け入れられる土壌が形成されたのです。福光屋は、この時代の変化を的確に捉え、満を持して「KAGATOBI ハイボール」を投入しました。

「KAGATOBI ハイボール」は、「加賀鳶」の特長であるキレのある辛口と、米由来の奥深い旨味、そして華やかな香りを基調としつつ、最適なバランスで炭酸を加え、これまでにない爽快感を実現しています。アルコール度数も調整されており、食事と共に、あるいはリラックスタイムの一杯として、どんなシーンにもマッチするように設計されています。

そして、今回の大きな特徴の一つが、持ち運びに便利なアルミボトル缶を採用した点です。軽量で割れる心配がなく、遮光性にも優れているため、日本酒の品質を保ちつつ、アウトドアやパーティーなど、様々な場所で日本酒を楽しむことを可能にしました。また、再栓可能なスクリューキャップを採用することで、飲み残しを気にせず、自分のペースで楽しめる利便性も追求されています。

奇しくも、現在東京ビッグサイトで開催されている「国際発酵・醸造食品産業展」では、東洋製罐をはじめとする容器メーカーが、日本酒のアルミ缶容器への取り組みを積極的にアピールしています。これは、日本酒の新たな販路開拓や、多様な飲用シーンへの対応として、アルミ缶が持つ可能性が注目されていることを示しており、「KAGATOBI ハイボール」の登場は、まさに時宜を得たものと言えるでしょう。

福光屋は、14年前の経験も踏まえ、今の時代だからこそ受け入れられる日本酒の新しい扉として、この「KAGATOBI ハイボール」を世に送り出しました。加賀鳶が持つ本来の魅力を、より多くの方に気軽に楽しんでもらいたいという、同社の強い思いが込められています。

北陸地区での先行販売は既に好調な滑り出しを見せており、消費者からは「日本酒のイメージが変わった」「スッキリしていて飲みやすい」といった肯定的な声が聞かれています。8月5日の全国販売開始を前に、この「KAGATOBI ハイボール」が、日本酒市場に新たな潮流を生み出すか、今後の動向が注目されます。伝統と革新が融合した福光屋の新たな挑戦が、日本酒文化の更なる発展に寄与することが期待されます。

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日本酒が拓く未来:米不足時代の「食料バッファー」としての可能性

近年、地球規模で食料問題が深刻化の一途を辿っています。気候変動による異常気象、紛争、人口増加、そして土地利用の変化などが複雑に絡み合い、食料生産の不安定性が増しています。特に、アジア圏の主食である米は、その安定供給が喫緊の課題であり、将来的な不足も懸念されています。このような状況下で、一見すると嗜好品に過ぎない日本酒が、実は米不足問題に対する重要な「食料バッファー」としての可能性を秘めている、という大胆な視点が注目されています。

この視点の根幹にあるのは、「米」という共通の資源です。日本酒は、米を原料とする醸造酒であり、その製造過程で精米され、残った米糠が利用されるなど、米の多様な活用を可能にしています。食料危機に直面した際、日本酒の生産量を調整することで、余剰となった米を食料として転用する、あるいは日本酒製造に不向きな米を加工利用するといった柔軟な対応が期待できるのです。

具体的に、どのようなメカニズムで日本酒がバッファーとなり得るのでしょうか。まず挙げられるのは、「緊急時の米の転用可能性」です。現在、日本酒の製造には「山田錦」や「五百万石」といった酒造好適米と呼ばれる特定の品種が主に用いられています。これらの酒造好適米は、食用米とは異なる特性を持ち、日本酒の品質を追求するために最適化されています。しかし、食料危機に際しては、酒造好適米を緊急に食用に回すという発想よりも、コシヒカリやあきたこまちといった、普段から私たちが食している食用米を、将来的に酒造用にも転用可能な形で計画的に生産しておくというアプローチが現実的かつ持続的です。

実は、現在でも「コシヒカリ」や「あきたこまち」などの食用米を用いて造られた日本酒は数多く存在し、その多様な味わいや地域ごとの特色が評価され、国内外の品評会で高い評価を得る銘柄も少なくありません。食用米は、酒造好適米に比べてタンパク質含有量が高く、日本酒造りにおいては雑味につながるとされる傾向にありますが、精米歩合の調整や、近年進化する醸造技術によって、食用米でも十分に高品質な日本酒を醸すことが可能になっています。この現状は、緊急時に食用米を日本酒原料として転用する際の技術的なハードルが、決して越えられないものではないことを示唆しています。

しかし、足元の状況は深刻さを増しています。今年の米不足問題は、すでに酒米の作付面積にも影響を及ぼし始めており、多くの酒蔵が原料米の確保に大きな問題を抱えています酒造好適米には、食用米の価格高騰や需要増によって、相対的に作付が減少したり、確保が難しくなったりする可能性が存在するのです。これは、今年の酒造りに大きな制約を課すだけでなく、将来的な日本酒の生産体制にも影を落としかねません。こうした状況だからこそ、前述したような「食料バッファー」としての役割が、より切実に求められるのです。

日本酒のヴィンテージ市場がもたらす多角的メリット

この食料バッファーとしての役割をさらに強化し、日本酒産業全体の持続可能性を高める上で極めて有用なのが、ワインのようなヴィンテージ市場の創出です。現在の日本酒は、基本的に「新酒」としてフレッシュな状態で消費されることが多く、長期熟成を前提とした市場は限定的です。しかし、一部の酒蔵では長期熟成酒(古酒)の可能性を探り、熟成による複雑な味わいや香りの変化を追求しています。

ワインのヴィンテージ市場は、年代物の希少性や品質の向上によって、高い付加価値を生み出しています。日本酒も同様に、特定の年に生産された「ヴィンテージ酒」として価値が認められれば、以下のような多角的なメリットが生まれます。

1.米の備蓄機能の強化: ヴィンテージ市場が確立されれば、酒蔵は「将来のヴィンテージ酒」として日本酒を熟成させるため、平時に余剰となった米を積極的に活用し、日本酒としてストックできます。これは、単なる「飲む」ためだけでなく、「価値を貯蔵する」ための日本酒生産を可能にし、結果的に米の利用方法に柔軟性を生み出します。もし米が不足する事態になれば、日本酒に回す予定だった米を食料に転用しても、後年挽回することも可能となるでしょう。

2.価格の安定化と付加価値向上: ヴィンテージ市場は、希少性や熟成による品質向上を評価するため、日本酒の価格を安定させ、さらには高める効果が期待できます。これにより、酒蔵の経営はより安定し、米農家への安定した支払いも可能になります。

この考え方をさらに進めると、平時から食用米の一部を「酒造用予備米」として位置づけ、生産計画に組み込むことが有効です。例えば、豊作で米が余剰となる年には、その一部を日本酒の原料として積極的に活用し、酒蔵に安定供給することで、米の供給過剰による価格下落を防ぎ、農業者の経営を安定させます。そして、もし不作や有事によって米が不足した場合には、この「酒造用予備米」として生産された食用米を、速やかに食料供給に回すことで、食料不足の緩和に貢献できるのです。

制度整備と世界的な人気が後押し

このような柔軟な転用を可能にするためには、現行の法制度や流通システムの見直しが必要です。具体的には、非常時における米の用途転換をスムーズに行うための制度設計や、食用米を日本酒原料として流通させる際の品質基準・価格設定に関する指針などが求められます。これにより、平時においては多様な米の活用を促しつつ、有事には迅速かつ効率的に食料供給へとシフトできる体制を構築できます。これは、緊急時に備えた備蓄米の役割を、日本酒という形で間接的に担うことができることを意味します。

そして、この食料バッファーとしての役割やヴィンテージ市場の確立を後押しする可能性があるのが、世界的な日本酒人気の拡大です。近年、日本酒は海外で「SAKE」として認知度を高め、輸出額も増加の一途を辿っています(一時的な変動はあるものの、長期的なトレンドは上昇傾向)。海外での需要が安定していれば、たとえ国内で米の供給に問題が生じたとしても、酒造用として生産された食用米の需要が一定程度確保されることになります。これにより、米農家は安定した生産を続けることができ、ひいては食料安全保障の観点からもメリットが生まれるでしょう。

まとめ

日本酒は単なる嗜好品ではなく、米という基幹食料を巡る将来の課題に対して、多様な解決策を提供する潜在能力を秘めていると言えます。食料安全保障という観点から見れば、日本酒は、平時には農業の維持と米の消費拡大に貢献し、有事には米の供給量を柔軟に調整できる「食料バッファー」として機能する可能性を秘めています。このユニークな役割を認識し、適切な政策と技術開発、食用米を酒造用予備米として位置づけ、その転用を可能にする柔軟な制度の整備を進め、さらにはワインのようなヴィンテージ市場を確立することで、日本酒は、未来の食料問題解決に貢献する新たな道を切り拓くことができるでしょう。それは、私たちの食卓と、地球の未来を守るための、重要な一歩となるはずです。

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日本酒をメジャーに導く、ドジャース公式日本酒「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」

ロサンゼルス・ドジャースと新潟の銘酒「八海山」の異業種コラボレーションが、いよいよ本格始動しました。ドジャース公式日本酒としてデザインされた「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」が、7月8日に満を持して出荷発売され、日本酒の新たな市場への挑戦、そして目前に迫るメジャーリーグのオールスターゲームへの期待感を高めています。

今年のメジャーリーグは、大谷翔平選手、山本由伸投手をはじめとする日本人選手の活躍により、例年以上に日本からの注目度が高いシーズンとなっています。特にドジャースは、メジャーリーグの中心的存在として連日報道されており、八海山がこの熱狂の渦中に「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」を投入したことは、まさに時宜を得た戦略と言えるでしょう。

オールスターゲームへの共鳴と「ブルーボトル」

2025年のMLBオールスターゲームは、7月15日火曜日(日本時間:7月16日午前9時)にアトランタのトゥルイスト・パークで開催されます。この世界中の野球ファンが熱視線を送る舞台で、ドジャースのスター選手たちが躍動する姿は、計り知れない注目を集めます。

八海山の「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」は、このオールスターへの熱狂が最高潮に達するタイミングで、日本のファンに向けてその存在感を大いに発揮するはずです。全国の酒販店などで購入できるこの限定ボトルは、ドジャースの活躍に一喜一憂する日本のファンにとって、応援の「乾杯」を彩る特別な一本となるでしょう。メジャーリーグファンは、日頃から多種多様な球団グッズに親しんでおり、彼らにとって球団ロゴを冠した日本酒は、新たなコレクターズアイテムとしての魅力も大きいでしょう。観戦後の祝杯や、野球談議の場にこの「ブルーボトル」が登場すれば、話に花が咲くこと間違いなしです。

日本酒の新たな挑戦を担う「ブルーボトル」

今回発売された「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」は、八海山が培ってきた伝統的な技術と、米の旨味を最大限に引き出す造りで定評のある特別本醸造酒です。ドジャースのチームカラーである鮮やかなブルーを基調とした洗練されたデザインが施されたボトルは、まさに記念限定品にふさわしい仕上がりとなっています。八海山らしいキレの良さと、まろやかで飲み飽きしない味わいは、多くの日本酒ファンに愛される逸品です。

この「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」の発売は、単なるコラボレーション商品に留まらず、八海山、ひいては日本酒業界全体が、スポーツという新たな切り口でファンとの接点を広げ、日本文化の発信に挑む姿勢を示しています。現時点では日本国内での展開が中心となるものの、このような大型スポーツチームとのコラボレーションは、将来的な海外市場への足がかりとなる可能性を秘めています。例えば、ドジャースのホームゲーム開催時には、日本から訪れる観光客への訴求や、現地の日本食レストランでの提供など、様々な展開が考えられます。

八海山とドジャースの今回の提携は、日本の伝統文化が、世界有数のプロスポーツリーグであるMLBと共鳴し、新たなファン層に届けられる可能性を示しています。オールスターゲームという華やかな舞台で、ドジャースの選手たちが躍動し、その熱気が日本にも波及する中で、この「特別本醸造 八海山 ブルーボトル」は、日米の文化交流の新たな象徴として、人々の記憶に深く刻まれることになるでしょう。そして、この特別な美酒は、野球ファン、日本酒ファン、そして両国の文化に興味を持つすべての人々にとって、新たな「乾杯」の喜びをもたらすに違いありません。

▶ 特別本醸造 八海山 ブルーボトルの詳細

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「SAKEPOST Air Pack」登場!海外で乾杯を叶える新定番に

株式会社FARM8は、2025年7月11日にモバイル日本酒「SAKEPOST Air Pack」をリリースしました。これは、海外旅行の手土産や機内での日本酒テイスティングに最適な、現代の旅に寄り添う今までにはなかったアイテムです。しかし、単に手軽に持ち運ぶための容器入り日本酒ではありません。世界中で「日本酒で乾杯」の機会を増やし、人と人との間に新しい繋がりや感動を生み出す、画期的な「飲むコミュニケーションツール」なのです。

「持ち運べる日本酒」が広げる、新たな乾杯のカタチ

SAKEPOST Air Packは、100mLパウチ3本(総量300mL)を付属の1L透明ジッパーポーチに封入した、これまでにない画期的なセットです。この革新的な仕様により、ほぼすべての航空会社・路線で手荷物として機内への持ち込みが可能となりました。これまで海外へ日本酒を持っていく際に誰もが感じていた「瓶は重いし、割れる心配がある」「免税店では選べる銘柄が少ない」といった長年の課題を、SAKEPOST Air Packはスマートかつ安全に解消するのです。

この携帯性の高さは、単なる利便性以上の価値を生み出します。例えば、海外に住む大切な友人や家族を訪ねる際、日本の四季が育んだ特別な日本酒をサプライズでプレゼントし、その場で一緒に封を開けて乾杯すれば、言葉の壁を越え、日本酒の香りと共に心温まる交流が自然と生まれるでしょう。また、長時間のフライト中に、機内食と共にテイスティングし、隣り合わせた見知らぬ乗客との会話のきっかけにすれば、予期せぬ楽しい出会いや、旅の記憶に残る一幕が生まれるかもしれません。SAKEPOST Air Packは、日本酒を囲むことで生まれる、誰もが共有できる笑顔や語らいの時間を何よりも大切にしています。それは、国境や文化を超え、誰もが共感できる喜びと感動を分かち合う瞬間を創出する力を持っているのです。

「世界で乾杯」と「ゲーム感覚」

「世界中で日本酒の乾杯を増やしたい」という、株式会社FARM8の開発者の熱い想いとビジョンが、このSAKEPOST Air Pack 誕生の原動力になったといいます。彼らが目指したのは、単なる「モノ」としての日本酒を届けることではありません。旅先での思い出を彩り、新しい友情を育むきっかけとなる、「コト」としての日本酒の価値を提供することなのだというのです。

SAKEPOST Air Pack は、そのルーツであるポストに届く日本酒定期便「SAKEPOST」が実現した「ゲーム感覚」も持ち合わせています。中身の銘柄は開けてからのお楽しみ。まずは純粋に味わいを楽しみ、その後に「どんなお酒だったんだろう?」と、期待しながら銘柄を知ることができるようになっています。このような体験は、海外の人々のような日本酒に馴染みのない人にも宝探しのようなワクワク感を提供し、堅苦しさ抜きに、日本酒の多様性や奥深さに触れることを可能にするでしょう。

本製品は、異文化交流の架け橋となり、旅の新たな乾杯文化を生み出すことが強く期待されています。日本酒が持つ奥深さと、それを共有する喜びを通じて、人々の心が通い合う瞬間の創出に貢献したいという、開発者の情熱が凝縮された製品と言えるでしょう。

価格と広がる販売チャネル

SAKEPOST Air Pack は、税込2,200円(3銘柄入り)という手頃な価格設定も魅力です。2025年7月11日より販売を開始しており、購入はFARM8公式オンラインストア (https://farm8.jp/sakepost-air-pack/) のほか、FARM8 STAND(東京都千代田区・JR御茶ノ水駅改札外2階)、そしてLIS摂田屋(新潟県長岡市摂田屋4-8-28)にて可能です。今後、さらなる取扱店舗の拡大も予定されていますので、より多くの人々がこの画期的な日本酒体験を手軽に楽しめるようになるでしょう。

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「石鎚 純米 土用酒」が誘う、深まる日本酒ペアリングの愉しみ

夏の訪れを告げる「土用」の時期、日本酒ファンにとって心躍る一本が登場しました。愛媛県西条市の石鎚酒造からリリースされた「石鎚 純米 土用酒」。食中酒として定評のある「石鎚」が、夏バテで食欲が落ちやすいこの時期に、疲れた体に染み渡るような優しい旨みと、穏やかな酸で、夏の食卓に寄り添います。冷やしてもちろん、少し温度を上げることでよりその真価を発揮し、懐の深さを見せてくれる一本です。

この「石鎚 純米 土用酒」の登場は、単なる季節限定酒のリリース以上の意味を持つように感じられます。なぜなら、ここ数年、日本酒と料理のペアリングに対する熱が、かつてないほど高まっているからです。もはや日本酒は、和食に合わせるものという固定観念は過去のものとなりつつあります。フレンチ・イタリアン・中華・エスニック…あらゆるジャンルの料理と日本酒を組み合わせることで、互いの魅力を引き出し、新たな発見と感動を生み出すという意識が、プロの料理人のみならず、一般の愛好家の間でも急速に広まっているのです。

このペアリング熱の高まりには、いくつかの背景が考えられます。一つは、日本酒の多様化です。吟醸酒や純米酒といった特定名称酒だけでなく、生酛・山廃・熟成酒・低アルコール酒など、造りのバリエーションが飛躍的に増え、それに伴って味わいの幅も格段に広がりました。これにより、料理のタイプに合わせて多種多様な日本酒の中から最適な一本を選びやすくなったのです。

細分化されるペアリングの世界

近年、ペアリングの考え方は、より細かな区分が行われるようになってきています。かつては「日本酒には和食」という大まかな括りでしたが、現在は「食材の持つ要素(旨み・脂・苦味など)」と「日本酒の持つ要素(酸・甘み・苦味・香りのタイプなど)」をきめ細かく分析し、組み合わせることで、より精度の高いペアリングが模索されています。

例えば、とろみのある料理にはとろみのある酒を、あるいは軽やかな料理には軽やかな酒を合わせることで、口の中での一体感を高めます。また、「温度のペアリング」も重要で、温かい料理には燗酒を、冷たい料理には冷酒を合わせることで、料理と酒が一体となり、より豊かな味覚体験を生み出します。

「石鎚 純米 土用酒」は、まさにこの細分化されたペアリングの世界において、その真価を発揮する酒と言えるでしょう。夏バテで食欲が落ちやすい時期に、今年は7月19日(土)と7月31日(木)の二回ある土用の丑の日に、鰻と合わせてみてはいかがでしょうか。冷やした土用酒は、鰻の脂を軽やかに切り裂き、米の旨みがタレの甘辛さを包み込むように調和します。また、少し温度を上げれば、酒の旨みが料理の奥深さをさらに引き立て、互いに高め合う相乗効果が生まれるでしょう。

日本酒ペアリングがもたらす豊かな食体験

情報伝達の多様化と加速も、このペアリング熱を後押ししています。SNSの普及により、日本酒愛好家が日々のペアリング体験を気軽に発信できるようになりました。プロのソムリエや日本酒コーディネーターが提案するペアリングの妙技だけでなく、一般の消費者が自宅で試した「意外な組み合わせ」が話題となり、新たなペアリングの可能性を広げています。これにより、日本酒と料理のペアリングは、一部の専門家だけのものではなく、誰もが気軽に楽しめる「知的な遊び」へと変化しました。

日本酒と料理のペアリングは、単に「合う・合わない」の二元論ではありません。互いの個性を尊重し、時にぶつかり合いながらも新たなハーモニーを生み出す創造的な営みです。それはまるで、異なる楽器が奏でる音色が重なり合い、美しい音楽を紡ぎ出すオーケストラのようです。

「石鎚 純米 土用酒」のような、明確なコンセプトを持った日本酒の登場は、私たちに改めてペアリングの奥深さを問いかけます。この一本を手に取ることで、私たちは夏の食卓における日本酒の新たな可能性を知り、より豊かな食体験へと誘われることでしょう。日本酒と料理が織りなす無限のハーモニーは、私たちの食生活に彩りを与え、日常をより特別なものへと昇華させてくれるはずです。

▶ 石鎚 純米 土用酒

2025年の夏、日本酒界の新たな波──awa酒が描く「乾杯の未来」

2025年7月12日、東京は池袋サンシャインシティで「令和6酒造年度全国新酒鑑評会 公開きき酒会」が盛況のうちに開催されています。横浜赤レンガ倉庫では「YOKOHAMA SAKE SQUARE 2025」が、そして大阪では「和酒フェス」などのイベントが日本酒の魅力を発信しています。全国津々浦々で日本酒が盛り上がりを見せる中、ひときわ注目を集めるのが、透明で美しい泡が立ち上るスパークリング日本酒、「awa酒」です。

一般社団法人awa酒協会が2016年に設立されて以来、わずか数年でその存在感を飛躍的に高めてきたawa酒。当初9蔵でスタートした協会は、今や32蔵が加盟し、認定銘柄は35を超えるまでに増加しました。ここには、米・米こうじ・水のみを使用し、瓶内二次発酵による自然な炭酸ガス、そして20℃で3.5バール以上のガス圧を必須とする、シャンパンにも比肩する厳格な認定基準があります。国際的な乾杯酒を目指して定められたこの基準こそが、単なる「発泡日本酒」ではなく、信頼性の高い「awa酒」としての地位を確立しているのです。

ところで、近頃のawa酒を取り巻くニュースは、まさにホットな話題に事欠きません。昨年10月に開催された第7回awa酒認定お披露目会では、新たに2銘柄が加わり、そのラインナップはますます充実。そして何よりも注目すべきは、国内外での積極的なプロモーション活動です。日本大使館でのイベントや、国際的なVIPを招いたレセプションでの乾杯酒としての採用が相次ぎ、awa酒がすでに外交の舞台でその輝きを放っていることを示しています。G7閣僚会合では、永井酒造の「MIZUBASHO PURE」が乾杯酒として選ばれてもいます。

さらに特筆すべきは、「awa酒振興議員連盟」の発足です。これは、awa酒が単なる酒類の一つとしてではなく、日本の文化と経済を牽引する重要な存在として認識されていることの表れでしょう。政治の舞台でawa酒が積極的に推進されることは、国内外での認知度向上に不可欠な要素であり、今後の展開に大いに期待が寄せられます。

さて、今年の夏、そして秋にかけて、私たちは様々な「乾杯」の機会に恵まれます。特に注目されるのは、間近に迫る参議院議員選挙です。もちろん、選挙活動において、候補者や政党がどのような酒で乾杯するかは、繊細あるいは些細なことかもしれません。しかし、日本の誇る「awa酒」が、今後、政治の舞台や国際的なレセプションの場で、当たり前のように乾杯の主役となる未来は、決して夢物語ではありません。

2025年、日本の乾杯シーンは、新たな転換期を迎えています。awa酒協会が掲げる「awa酒を世界の乾杯酒に」という目標は、着実に現実のものとなりつつあるのです。今度の選挙、そしてその先の未来。私たちの乾杯は、もしかしたら、透明な泡が美しく立ち上るawa酒で彩られることになるのかもしれません。

▶ 水芭蕉|シャンパンに挑む酒

▶ 楽天市場で購入できる「awa酒」

日本酒の常識を覆す革新「凍眠生酒」:TOMIN SAKE COMPANYが拓く新たな可能性

【東京、2025年7月11日】日本酒の世界に、新たな地平を切り拓く革新的な技術が注目を集めています。富山県高岡市に本社を構える株式会社TOMIN SAKE COMPANYが展開する「凍眠生酒」です。急速液体冷凍機「凍眠」を用いたこの画期的な製法は、これまで酒蔵でしか味わえなかった搾りたてのフレッシュな生酒を、全国はもとより世界中の愛飲家へ届けることを可能にし、日本酒の流通と楽しみ方に大きな変革をもたらしています。

究極の鮮度を閉じ込める「凍眠」技術

「凍眠生酒」の核となるのは、関連会社株式会社テクニカンが開発した急速液体冷凍機「凍眠」です。従来の冷凍技術が空気を使って凍らせるのに対し、「凍眠」はマイナス30℃以下の液体(アルコール溶液)に浸すことで、食品が凍る最大氷結晶生成帯を極めて短時間で通過させます。これにより、細胞組織へのダメージを最小限に抑え、解凍後の品質劣化を防ぐことができるのです。この技術を日本酒に応用することで、搾りたての風味や香りを損なうことなく、瓶ごと瞬間冷凍し、まさに「時を止めた」かのような状態で保存・流通を実現しています。

日本酒の生酒は、火入れ(加熱殺菌)を一切行わないため、デリケートで品質管理が難しいという特徴があります。通常、生酒は冷蔵保存が必須であり、賞味期限も短いため、遠隔地への輸送や長期保存は困難でした。しかし、「凍眠生酒」は、製造から直ちに冷凍することで、酒質変化の要因となる酸素との接触や温度変化を極限まで抑え込み、解凍後も、まるで搾りたてのようなフレッシュな味わいを実現したのです。これにより消費者は、自宅で、または飲食店で、まるで酒蔵訪問したかのような体験を得られるようになりました。

2023年5月19日発売開始

「凍眠生酒」は、2023年5月19日に初めて市場に登場しました。テクニカンが手掛ける冷凍食品セレクトショップ「TOMIN FROZEN」のECサイトにて先行販売が開始され、翌日からは横浜の実店舗でも販売・試飲イベントが開催されました。

最初のリリースでは、日本酒「獺祭」で知られる旭酒造の「獺祭 純米吟醸磨き三割九分寒造早槽」をはじめ、南部美人(岩手県)、天吹酒造(佐賀県)など、全国26の蔵元とコラボレーションした36銘柄が同時に販売開始されました。これにより消費者は、一度に多様な蔵元の「凍眠生酒」を体験できる機会を得ることとなりました。

さらに今年3月、公式オンラインストアをリニューアルオープンし、凍眠生酒を含む取り扱い商品をさらに拡充。加えて今月、帝国ホテルのオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」でも取り扱いが始まり、より幅広い層の消費者にその魅力が届くようになりました。

地域と日本酒の新たな架け橋

TOMIN SAKE COMPANYは、サッポロビールや月桂冠といった大手メーカーの特約店であると同時に、富山・石川・福井の地酒に精通する老舗です。同社が「凍眠生酒」事業に注力する背景には、単なるビジネスチャンスだけでなく、地域文化としての日本酒への深い愛情と、その魅力をより多くの人に伝えたいという強い想いがあります。

同社ではこれを、日本酒のテロワールを未来へつなぐ技術だと考えています。酒蔵の想いや、その土地ならではの米、水、気候が育んだ唯一無二の味わいを、劣化させることなく消費者に届ける―――これは、日本酒の新たな可能性を切り拓く上で、非常に重要な技術になるはずです。

特に、知名度は高くなくとも品質の高い地酒は、これまで流通の壁に阻まれ、その魅力を十分に伝えきれていなかったケースも少なくありません。「凍眠生酒」は、そうした隠れた名酒に光を当て、全国そして世界へと販路を拡大する強力なツールとなります。

日本酒文化の未来を創造する挑戦

「凍眠生酒」は、単なる冷凍日本酒ではありません。それは、日本酒の品質管理、流通、そして楽しみ方そのものに革新をもたらす、未来志向の挑戦です。TOMIN SAKE COMPANYは、この技術を通じて、これまで以上に多様な日本酒を世界に紹介し、その奥深さや魅力を広く伝える役割を担っています。

日本酒業界は、伝統を守りながらも常に進化を続けています。その中で、「凍眠生酒」が描く未来は、まさに無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。TOMIN SAKE COMPANYの挑戦が、日本の誇るべき酒文化を、これからも世界へと発信し続けることを期待しています。

「宵火」、久留米焼きとりに捧ぐ至福の一献

福岡県久留米市に、食通たちの熱い注目を集める新たな日本酒が誕生しました。その名も「宵火(Yoibi)」。久留米が誇るB級グルメの王者、久留米焼きとりとの最高のペアリングを目指して開発されたこの酒は、早くも地元の飲食店関係者や愛飲家の間で話題を呼んでいます。

久留米焼きとり、その奥深き世界と「100年フード」認定

久留米市は、実は日本有数の焼きとり文化を持つ街です。単に鶏肉を串に刺して焼くだけでなく、豚、牛、魚介、野菜など、バラエティ豊かな食材が使われ、その種類は数百にも及ぶと言われています。それぞれの素材に合わせた焼き加減や味付け、そして提供されるタレや薬味の工夫など、久留米焼きとりは奥深い食文化を形成しています。豚バラやダルム(豚の直腸)、鳥皮など、独特の名称を持つ串も多く、地元の人々にとっては日常に欠かせないソウルフードとなっています。

そんな久留米焼きとりが、2025年3月に文化庁の「100年フード」に認定されました。これは、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を保護・継承する目的で設けられた制度です。この認定は、久留米焼きとりが単なるB級グルメに留まらず、地域の歴史と文化を色濃く反映した、未来へ継承すべき大切な食文化であることを改めて示す出来事となりました。

「宵火」誕生秘話:100年フード認定が後押しした新たな挑戦

「宵火」を開発したのは、久留米市で酒類販売を手掛けるIZUMIYAです。久留米焼きとりの「100年フード」認定は、この地元の酒販店にとって大きな喜びであり、同時にこの素晴らしい食文化をさらに盛り上げていきたいという強い使命感をもたらしました。久留米焼きとりは、脂の乗ったものからあっさりしたもの、塩味、タレ味と非常に幅広い味わいを持つため、従来の日本酒では相性の良い串が限られるという課題がありました。そこで、より多くの串と調和し、それぞれの美味しさを引き立てるような、久留米焼きとりのための日本酒を造るという強い思いが芽生えました。

この構想のもとIZUMIYAは、久留米で「庭のうぐいす」を醸造する山口酒造場に協力を依頼しました。山口酒造場は、創業以来、地域に根差した酒造りを行い、国内外で高い評価を受ける実力派の蔵元です。両者は、久留米焼きとりの様々な串を食べ比べ、どのような酒質が最適かを徹底的に議論しました。「100年フード」認定後の機運の高まりも背景に、短期間で集中的な試行錯誤を重ね、ついに理想の日本酒「宵火」が完成しました。

「宵火」の酒質:久留米焼きとりのための設計思想

「宵火」は、発泡感のある純米吟醸酒として仕込まれています。麹米には糸島産の山田錦、掛米には久留米産の夢一献を使用。久留米焼きとりの特徴である脂の旨味を受け止めるしっかりとした骨格を持ちながらも、後味は驚くほどすっきりとキレが良いのが特徴です。
その酒質は、口に含んだ瞬間に焼きとりの脂を洗い流し、次の串へと誘うような、“口内リフレッシュ”効果を意識して設計されています。

また、「宵火」は冷やして飲むのはもちろんのこと、ぬる燗でも楽しめるように設計されています。温めることで米の旨味がより一層引き立ち、タレ味の串や濃厚な味わいの串との相性が抜群に良くなります。様々な温度帯で楽しめることで、久留米焼きとりの多様な串に寄り添う懐の深さを実現しています。

久留米の夜を彩る「宵火」

「宵火」という名前には、「夜の帳が降り、焼きとりの煙が立ち上る頃、久留米の街で多くの人々が集い、この酒と共に楽しい時間を過ごしてほしい」という願いが込められているといいます。 昨日7月9日から久留米市内の焼きとり店約50店舗で提供が開始され、「串の味がより際立つ」「何杯でもいける」と、すでに多くのファンを獲得しているようです。

「100年フード」に認定され、その価値が再認識された久留米焼きとりの更なる魅力を引き出し、久留米の夜をより一層熱く彩るであろう日本酒「宵火」。久留米を訪れる際は、ぜひこの特別な一本と共に、奥深い焼きとり文化を存分に堪能してみてください。

▶ IZUMIYA楽天市場店

世界を魅了する日本酒の知恵:津南醸造が拓く、環境と共生する未来への道

古来より日本の風土と文化に深く根ざしてきた日本酒は、近年、その奥深い味わいと多様性で世界中の人々を魅了し続けています。2013年には「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、その構成要素として日本酒も注目を集めました。さらに、昨年には「伝統的酒造り」そのものがユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、その技術と文化は国際的にも高い評価を受けています。本日も、宮城県の合同酒「DATE SEVEN」が韓国で初の試飲イベントを開催し、前売り券が完売するほどの人気を博したことは、日本酒が国境を越えて愛されている証左と言えるでしょう。

また、日本酒の醸造過程で生まれる成分、特に「麹菌」が生成するコウジ酸や、豊富なアミノ酸などは、古くから美容や健康に良いとされ、化粧品や健康食品の分野でも世界的に注目されてきました。このように、日本酒は単なる嗜好品に留まらず、その伝統的な技術や由来する成分が持つ潜在的な価値が、現代社会の様々な課題解決に貢献する可能性を秘めているのです。

そして今、日本酒業界は、この伝統と革新の精神を環境問題という喫緊の課題へと向けています。新潟県津南町に拠点を置く津南醸造株式会社が始動した「日本酒アップサイクルプロジェクト」は、まさにその先駆的な取り組みであり、日本酒がこれからの環境を考慮した社会に大いに役立っていく可能性を具体的に示しています。

このプロジェクトは、日本酒の製造過程で排出される酒粕や、日本酒そのものが持つ機能性に着目し、これらを未利用資源として捉え、先端技術と融合させることで新たな価値を創造するものです。その主要な取り組みは以下の三点に集約されます。

まず、酒粕由来の半導体材料開発です。半導体は現代社会の基盤を支える重要素材であり、その製造には環境負荷の高いプロセスが伴います。津南醸造は、酒粕に含まれる有機成分が半導体材料としての可能性を秘めていることに着目し、研究開発を進めています。これは、食品廃棄物から高付加価値な先端材料を生み出すという、資源循環型社会の理想的なモデルであり、石油由来の材料に代わるバイオベースの素材として、環境負荷の低減に大きく貢献すると期待されています。

次に、日本酒由来ナノ粒子「SAKESOME」の化粧品・医療分野への応用です。日本酒に含まれるアミノ酸や有機酸などの有用成分を、独自のナノテクノロジーで超微粒子化し、「SAKESOME」と名付けました。この「SAKESOME」は、その微細な構造により、有効成分の皮膚や体内への浸透性を高め、保湿、抗酸化、美白、アンチエイジングといった美容効果が期待されます。さらに、特定の薬剤を効率的に患部に届けるドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアとしての可能性も模索されており、日本酒が持つ伝統的な価値が、最先端のバイオテクノロジーと融合することで、新たな市場を切り開く可能性を示しています。

そして、未来の食糧問題を見据えた革新的な取り組みが、酒製造由来素材を用いた細胞培養食品原料の検討です。酒粕や醸造過程で生成される酵母や微生物が持つ豊富な栄養素と機能性を活用し、代替肉や代替魚といった細胞培養食品の培養培地や、その構成要素として利用する研究を進めています。これは、酒造りの知見を応用することで、持続可能なタンパク源の確保に貢献し、食料問題の解決に寄与するものです。

津南醸造のこの挑戦は、単一企業の取り組みに留まらず、地元の大学や研究機関、異業種企業との連携を通じて、地域資源が最先端技術と結びつき、新たな産業を創出するモデルケースとなりつつあります。日本酒業界は、その伝統的な技術と知恵を現代の環境課題に応用することで、単なる飲料製造業の枠を超え、持続可能な社会の実現に貢献する重要な役割を担う可能性を秘めているのです。

▶ 津南醸造の日本酒