日本酒がシェイクに!? Shake Shack広島と賀茂鶴がコラボ

2025年8月1日、広島に新たな旋風が巻き起こります。米国発の人気ハンバーガーレストラン「Shake Shack」のミナモア広島店が、広島が誇る老舗酒蔵「賀茂鶴酒造」との異色コラボレーションにより、なんと「日本酒シェイク」を発売するというのです。一見すると意外な組み合わせですが、これは伝統的な日本酒の楽しみ方に一石を投じ、その可能性を広げる画期的な試みとして注目を集めています。

近年、日本酒は国内外でその多様な魅力が再評価され、消費者の裾野も広がりを見せています。しかし、その多くは食事と共に、あるいは単体でじっくりと味わうという従来のスタイルに留まっていました。そんな中で登場する日本酒シェイクは、日本酒をよりカジュアルに、より親しみやすい形で楽しむことを可能にする、まさに「新しい日本酒の楽しみ方」を提案するものです。

日本酒シェイク、その萌芽と進化の軌跡

実は、日本酒とシェイクの組み合わせは、今回のShake Shackと賀茂鶴のコラボが初の試みではありません。日本酒業界では、伝統に縛られず、新しい飲用スタイルを模索する動きが以前から見られました。

その発祥は2010年代の佐渡を含めた新潟周辺にあるようで、「久保田」で知られる朝日酒造は、ホームページにレシピを掲載しています。その久保田は、若年層や日本酒になじみのない層に向けて、カクテルやデザートへの活用など、多様な飲用シーンを提案してきました。このような老舗酒造が、その伝統にあぐらをかかず、新しい価値創造に挑む姿勢は、業界全体に刺激を与えたと言えるでしょう。

また、日本酒の可能性を広げる動きとしては、2020年に始まった山口県の銘酒「獺祭」とモスバーガーのコラボレーションも特筆すべき事例です。こちらはノンアルコールではあったものの、「まぜるシェイク 獺祭」として販売され、日本酒の香りを気軽に楽しめる飲み物として大きな話題を呼びました。アルコールを含まないことで、幅広い層にアプローチできるという利点に加え、日本酒の持つフルーティーな香りをシェイクという形で表現することで、日本酒に対するイメージをより身近なものにしたと言えるでしょう。この獺祭の試みは、日本酒の「香り」をキーにした新しいドリンク開発の可能性を示し、今回のアルコール入り日本酒シェイクへの布石となったとも考えられます。

これらの先行事例を踏まえると、今回のShake Shackと賀茂鶴のコラボレーションは、単なる一過性のトレンドではなく、日本酒の進化における自然な流れの中で生まれた必然的な出会いであると捉えることができます。「日本酒×シェイク」という概念を、より洗練された形で実現し、獺祭が示した「日本酒の香りを楽しむ」というアプローチを、さらにアルコール入りという形で深化させたものと言えるでしょう。

賀茂鶴とShake Shack広島で紡ぐ新たなハーモニー

今回の主役である賀茂鶴酒造は、広島を代表する酒蔵の一つであり、その歴史と品質には定評があります。伝統的な製法を守りつつも、常に新しい挑戦を続けてきた賀茂鶴が、若者を中心に絶大な人気を誇るShake Shackとのコラボレーションに踏み切ったことは、その挑戦的な姿勢の表れと言えるでしょう。

この日本酒シェイクは、日本酒に馴染みのない層、特に若い世代にとって、日本酒に触れるきっかけともなるでしょう。シェイクという親しみやすい形で提供されることで、日本酒に対する敷居が下がり、「日本酒って意外と美味しいかも」「こんな楽しみ方があったんだ」という新たな発見をもたらすはずです。また、すでに日本酒を愛飲している人々にとっても、これまで経験したことのない新しい日本酒の顔を垣間見ることができる、エキサイティングな体験となるでしょう。

今回のコラボレーションは、単なる話題性だけでなく、日本酒業界全体に与える影響も大きいと考えられます。伝統に安住することなく、異業種との連携を通じて新たな価値を創造していく。この動きは、日本酒の可能性をさらに広げ、その魅力を世界に向けて発信する上で重要な一歩となるでしょう。

2025年8月1日、ミナモア広島店に登場する「Shake Shack広島×賀茂鶴コラボの日本酒シェイク」。この一杯が、広島から全国へ、そして世界へと、日本酒の新しい楽しみ方を提案する、まさに歴史的な一杯となることを期待せずにはいられません。

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