【2025年版】ひやおろし解禁間近!秋を映す日本酒の楽しみ方とおすすめ銘柄

立秋を迎え、暦の上では秋となりました。日中の暑さはまだ続いているものの、朝夕の空気にわずかながら秋の気配が感じられるようになると、日本酒の世界でも“秋の便り”が届き始めます。その代表的な存在が「ひやおろし」です。

この時期、蔵元や酒販店、飲食店などから「ひやおろし」や「秋上がり」といった言葉が聞こえてくるようになると、いよいよ秋酒のシーズンが幕を開けたことを実感します。夏の間に熟成されたまろやかで深みのある日本酒が、満を持して登場する季節です。

「ひやおろし」とは何か?

「ひやおろし」とは、冬から春にかけて搾った新酒を一度だけ火入れ(加熱殺菌)し、冷暗所で夏を越して熟成させ、秋口に再火入れせずそのまま瓶詰めして出荷される日本酒のことです。外気と蔵の温度が近くなる「冷や(常温)」の状態で出荷することから、「ひやおろし」と呼ばれています。

火入れの回数が1回だけであるため、酒の持つ繊細な香味や熟成による丸みがバランスよく楽しめるのが特徴です。夏の暑さの中でじっくりと寝かせられたお酒は、角が取れて柔らかく、旨味がしっかりとのった状態で登場します。

冷酒でもぬる燗でもおいしく楽しめ、秋刀魚やきのこ、栗など、秋の味覚と絶妙に寄り添うのが魅力です。

今年の「ひやおろし」もまもなく登場

例年、「ひやおろし」は8月下旬から9月初旬にかけて蔵出しが始まります。今年もすでにSNSや酒販店の情報発信では、ひやおろしに関する話題がちらほら見られるようになってきました。

毎年この時期になると、どの蔵の「ひやおろし」を楽しもうかと気持ちが高まりますが、なかでも個人的に楽しみにしているのが、長崎県壱岐の重家酒造が手がける「よこやま 純米吟醸 SILVER ひやおろし」です。

壱岐発「よこやま」の魅力

「よこやま」は、長崎県壱岐島で造られる日本酒ブランドで、焼酎文化が根付く地域にあって、あえて日本酒の復活に挑んだことで知られています。重家酒造は元々焼酎蔵でしたが、2018年に「よこやま」シリーズで日本酒造りを本格始動させました。

壱岐のきれいな水と、南国の気候を逆手に取った低温発酵技術により、華やかな香りとクリアな味わいを両立させた酒質が高く評価されています。

そのなかでも「よこやま SILVER」は、純米吟醸らしいフレッシュさと上品な香りが特長で、しっかりとした味の輪郭を持ちつつも、透明感のある仕上がりが印象的です。

昨年いただいた「SILVER ひやおろし」は、熟成によってまろやかさが加わり、果実のような香りとふくらみのある旨味が見事に調和していました。秋の夜長に、静かに楽しむのにぴったりの一本だったことをよく覚えています。

今年の仕上がりにも期待

今年は猛暑が続いた影響もあり、ひやおろしにとっては熟成の難しい年かもしれません。しかし、それをどのように乗り越え、仕上げてくるのか。蔵ごとの技術と哲学が問われる年でもあります。

昨日、「よこやま SILVER ひやおろし」の予約が始まったことを知りました。蔵の中でじっくりと旨みを蓄えている酒と、同じ時間を過ごしているのだと思えば、この暑さもなんとか乗り越えていけそうです。今年の仕上がりに期待です!

▶ 重家酒造株式会社(長崎県)|壱岐に復活した日本酒づくり

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