10月28日、国際日本酒品評会「ルクセンブルク酒チャレンジ2025」にて、新澤醸造店 の「超特選 純米大吟醸 残響 2024」が、最高賞にあたる「Best Award」に選出されたことが明らかになりました。なお、本コンテストのプラチナ/金/銀賞の受賞結果は、6月17日付で既に発表されており、最高賞の発表は10月末日としていたものです。
コンテストの特徴と意義
「ルクセンブルク酒チャレンジ」は、2022年に第1回が開催され、ヨーロッパにおける日本酒の魅力を発信し、新たな市場開拓を目的とした国際日本酒品評会です。本コンテストの主な特徴は以下の通りです。
- 審査員にはヨーロッパ各国で活動する「酒ソムリエ」やホテル・レストランの専門家が含まれ、日本酒の香り・味わいだけでなく「現地の料理とのペアリング適性」も評価ポイントとなっています。
 - 審査基準においては、外観、香り、味わい、調和、パッケージの優雅さなど多角的に評価されており、単純な技術醸造だけでなく市場適合性を重視している点が注目されます。
 - ルクセンブルクを拠点に、ベルギー・ドイツ・フランスといった欧州主要市場にアクセスできることから、日本酒の欧州市場参入における「重要な入り口」として位置づけられています。
 
こうした特色をもつ本コンテストにおいて、最高賞を獲得することは、単なる受賞にとどまらず、対外的な評価・ブランド発信の大きな転機となるものです。
「残響」が示した新しい日本酒の姿
今回、最高賞を受けた「残響」は、単なる技術的な到達点を超えた、日本酒文化の象徴的存在です。その誕生は2009年。新澤醸造店の蔵元と、俳優でありミュージシャンでもある福山雅治氏との親交から生まれました。当時、世界最高とされた精米歩合7%という前人未踏の挑戦から誕生したものです。
以後、「残響」は国内外の主要コンテストで数々の受賞を重ねてきました。ロンドン酒チャレンジやIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門では、ワインの専門家たちから「最も繊細で詩的な日本酒」と評され、すでに国際的評価を確立していました。今回、欧州の中心地であるルクセンブルクで最高賞に選ばれたことは、世界の味覚の一部として認められた象徴的な出来事と言えるでしょう。
それはまた、「残響」が体現する『磨きの哲学』が、欧州の審査員の深い共感を呼び込んだということでもあります。単なる技術競争ではなく、素材と向き合い、心を込めて限界まで磨き抜く姿勢――それはクラフトマンシップと精神性を重んじるヨーロッパの文化とも響き合います。その意味で、今回の最高賞は日本酒が文化として成熟し、共感の言語を世界と共有し始めたことを象徴しています。
この受賞によって、「残響」は再び世界の舞台で脚光を浴びました。今回の受賞を契機に、「残響」は単なるプレミアム日本酒を超え、日本酒の芸術的到達点として国際市場で新たな価値を創出していくはずです。そしてその余韻は、まさに名の通り、世界中の酒席に静かに、しかし確かに響き続けていくことでしょう。
