今年3回目を迎えた『第3回 美酒コンクール 2025』の審査概要および結果が公表され、「吟天 龍王」(小田切商事株式会社/兵庫県)が、最高賞である「美酒 of the Year 2025」に輝きました。主催の 一般社団法人『日本のSAKEとWINEを愛する女性の会』は、「香り・味わい」という感性を切り口に、女性審査員のみで審査を行う新しい日本酒コンクールとして注目を集めています。
今回、国内外から127社293アイテムが出品され、審査員数も海外からの参加者を含め165名に及びました。審査方式も一般的な「特定名称」別ではなく、香りと味わいの特徴に応じて分類された全6部門(フルーティー/ライト&ドライ/リッチ&旨味/エイジド<熟成酒>/スパークリング/ロウ・アルコール)で構成され、酒類資格を保有する『正規審査員』と、一般女性の『アマチュア審査員』の両輪でブラインド・テイスティング形式の評価が行われました。
本コンクールが掲げる三つの理念――「日本の伝統文化の継承」「地域経済の活性化」「女性が活躍する社会の実現」――もあわせて強く打ち出され、特に女性審査員による審査という構造が、これまで日本酒コンクールであまり見られなかった女性の感性を活かした評価基準を提示しており、新たな価値づくりの場となっています。
今回「美酒 of the Year 2025」に選定された『吟天 龍王』は、エイジド(熟成)部門の金賞受賞酒でもあり、熟成という時間を経た酒の深み、香味の重層性、果実的なアロマとコクのバランスなどが、女性審査員の評価軸と好相性を示した結果と言えるでしょう。
今後このコンクールを展望すると、香味を起点とした部門構成によって「自分好みの味わいを選ぶ」消費者動線の構築が進む可能性があります。蔵元にとっても、女性審査員のコメントやアマチュア消費者の意見をマーケティングに活かす機会が増えており、酒造りのブランディングや流通展開にも新たなヒントをもたらしています。たとえば、銘柄ラベルに香味部門を明示することで、消費者にとって敷居の低い選びやすい日本酒となる可能性が開けてきています。
まとめると、第3回となる今回の美酒コンクールは、出品数・審査員数ともに規模を固めつつ、従来の枠を超えた女性審査・香味別部門という切り口で日本酒ジャンルに新風を吹き込みました。そして、その最高賞に選ばれた『吟天 龍王』の受賞は、熟成日本酒の魅力が改めて女性の審美眼によって讃えられた象徴とも言えます。今後、全国各地の蔵元がこの評価制度を刺激源とし、より多彩な味わいを表現していくことが期待されます。
| 美酒 of the Year 2025 | |||
| (エイジド部門) | 吟天 龍王 | 小田切商事 | 兵庫県 |
| TOP OF THE BEST | |||
| フルーティー部門 | 作 槐山一滴水 | 清水清三郎商店 | 三重県 |
| ライト&ドライ部門 | 赤城山 本醸造辛口生貯蔵酒 | 近藤酒造 | 群馬県 |
| リッチ&ウマミ部門 | 萬歳楽 石川門 純米 | 小堀酒造店 | 石川県 |
| エイジド部門 | 夢乃寒梅 古酒 2000 | 鶴見酒造 | 愛知県 |
| スパークリング部門 | 琵琶のささ浪リンゴ印スパークリング | 麻原酒造 | 埼玉県 |
| ロウ・アルコール部門 | 賀茂泉酒造 COKUN | 賀茂泉酒造 | 広島県 |
| 特別賞 | |||
| ソムリエ賞 | Catskills | Brooklyn Kura | アメリカ |
| 客室乗務員/CA賞 | 天賦 純米吟醸 | 西酒造 | 鹿児島県 |
| アマチュア賞 | 越乃雪椿 Grand-Cuvée 純米大吟醸原酒 | 雪椿酒造 | 新潟県 |
| ラベル賞 | 吟天 花龍 | 小田切商事 | 兵庫県 |
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