ミラノ酒チャレンジ2025、マニフィカ賞を発表~国際舞台で光る日本酒の存在感

イタリア・ミラノで開催された国際日本酒コンペティション「ミラノ酒チャレンジ2025」の最高賞にあたる「マニフィカ賞」が、2025年9月28日に発表されました。マニフィカ賞は、各部門のプラチナ賞受賞酒の中からさらに突出した1本にのみ与えられる特別な称号であり、日本酒の国際的評価を象徴するものとして注目を集めています。

最高賞「マニフィカ賞」とは

ミラノ酒チャレンジは2019年に始まり、ヨーロッパにおける最大規模の日本酒審査会として急速に存在感を高めてきました。その特徴は、単に酒質を競うだけでなく、「テイスティング」「フードペアリング」「デザイン」という三つの視点から総合的に評価を行う点にあります。これにより、世界市場で選ばれるために必要な味わいの普遍性、料理との親和性、そして商品としての魅力が同時に審査されます。

その中でマニフィカ賞は、プラチナ賞の中からさらに「その年を代表する酒」として選ばれる特別賞です。まさに“唯一無二の一本”として認められるこの賞は、世界における日本酒の評価軸を示す存在として年々注目を増しています。

2025年のマニフィカ賞受賞結果

本醸造部門愛宕の松 宮城県限定本醸造株式会社新澤醸造店
スパークリング部門水芭蕉 雪ほたか永井酒造株式会社
にごり部門博多練酒株式会社若竹屋酒造場
特殊製造部門一ノ蔵 Madena株式会社一ノ蔵
吟醸部門金鯱山田錦​盛田金しゃち酒造株式会社
純米吟醸部門SETOICHI 手の鳴る方へ株式会社瀬戸酒造店
純米部門超特撰白雪江戸元禄の酒小西酒造株式会社
普通酒部門白雪樽酒カップ小西酒造株式会社
純米大吟醸部門楯野川 純米大吟醸 十八楯の川酒造株式会社
大吟醸部門夜明け前 大吟醸株式会社小野酒造店
古酒部門夢乃寒梅 古酒 2000年鶴見酒造株式会社

今年は、宮城県の新澤醸造店「愛宕の松 宮城県限定本醸造」や、長野県の小野酒造店「夜明け前 大吟醸」などがマニフィカ賞に選ばれました。いずれも国内で確固たる評価を得てきた銘柄ですが、国際舞台での審査員からも高く支持され、料理との相性やデザイン面においても総合的に優れていると認められました。

特に「愛宕の松」は、本醸造というカテゴリーでありながら、飲みやすさと奥行きを兼ね備えた味わいが高評価となりました。「夜明け前」は大吟醸らしい華やかさと品格を備え、イタリア料理との相性でも群を抜いた結果を示しました。これらの結果は、カテゴリーの違いを超えて、日本酒の多様な魅力が国際的に認知されていることを物語っています。

日本酒業界への影響

ミラノ酒チャレンジは、審査結果をヨーロッパ市場に広く発信しており、受賞酒は現地での販路拡大やレストランでの採用につながるケースが増えています。特にワイン文化が根付いたイタリアにおいて、日本酒が「食と合わせて楽しむ酒」として浸透するきっかけとなっており、輸出の拡大に直結する重要な場となっています。

また、デザイン審査の存在は、海外消費者の感覚に合う商品開発を促す契機となっています。伝統を重んじつつも国際市場を意識した新しいラベルやボトルが登場することで、日本酒のイメージ刷新にもつながっています。

さらに、フードペアリング部門ではパルミジャーノ・レッジャーノやサンダニエーレ生ハムといったイタリアの食材との相性が審査されるなど、現地の食文化との接点が意識されている点も特徴です。これにより、日本酒が和食専用にとどまらず、多様な料理に合わせられる酒として認知されつつあります。


2025年のマニフィカ賞は、日本酒が世界の舞台で改めて評価され、その可能性が広がっていることを示す象徴的な出来事となりました。受賞した蔵元にとっては名誉であると同時に、海外市場に踏み出す強力な追い風となるでしょう。

ミラノ酒チャレンジが持つ「国際基準で日本酒を評価する」という仕組みは、今後ますます業界に影響を与え、日本酒の国際化を後押ししていくと考えられます。今年選ばれたマニフィカ賞の酒が、どのように世界の食卓へ広がっていくのか、今後の展開が注目されます。

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