クラフトサケの祭典「猩猩宴 in 男鹿」が、今年も秋田を熱くした

8月9日と10日の2日間、秋田県男鹿市で開催された「猩猩宴 in 男鹿」は、全国からクラフトサケの造り手と愛好家が集い、地域全体を巻き込んだ熱気に包まれました。今年で4回目となるこのイベントは、単なる試飲会や酒まつりではなく、地域の文化や人々の営みと深く結びついた“新しい日本酒文化”の発信の場として注目を集めています。

地域と融合するクラフトサケの祭典

昼の部は、稲とアガベが運営する各拠点「土と風」「SANABURI FACTORY」「シーガール」を舞台に開催されました。ブースには、福島、福岡、長野など全国各地からやってきたクラフトサケの造り手が並び、来場者は杯を傾けながら生産者と直接言葉を交わし、それぞれの土地や造りの背景に触れることができました。クラフトサケの魅力は、その味わいの多様性だけでなく、造り手の個性や地域性が色濃く反映されている点にあります。

夜の部は男鹿駅前広場が舞台。地元の盆踊りとクラフトサケが融合し、太鼓の音と涼風の中、老若男女が一体となって踊る光景が広がりました。お祭りの熱気に包まれながら飲む一杯は、まさに地域と酒が一体となった瞬間を感じさせます。こうした地元文化とのコラボレーションは、地域の魅力を再発見し、外からの来訪者にも強い印象を残すものです。

今年初参加となった「早苗饗蒸留所」では、スピリッツやリキュールといった新しい挑戦が披露され、クラフトサケの世界が日本酒の枠を超えて広がっていることを示しました。従来の日本酒業界は全国規模のブランドや大規模イベントが注目されがちでしたが、こうした小規模かつ創造的な動きが、地域を拠点に確実に広がっています。

地方を元気にする新しい日本酒文化

クラフトサケは今、これまでの日本酒文化とは一線を画す存在感を放っています。伝統を踏まえつつ、自由な発想で新しい製法や味わいに挑むその姿勢は、地域資源や食文化との融合を促し、観光や交流人口の増加にもつながります。「猩猩宴 in 男鹿」もまた、単なる酒イベントではなく、地域を元気にし、人と人をつなぐハブとして機能していました。

主催の稲とアガベ代表・岡住修兵氏は、「男鹿の風土を醸す」という理念のもと、このイベントを通して地域と酒造りの未来を紡ごうとしています。その思いは、来場者や造り手、そして地域の人々の笑顔として会場に表れていました。

クラフトサケの盛り上がりは、単なるブームではなく、日本酒文化の新しい地平を切り開く動きです。そしてそれは、地方に眠る資源や文化を再び輝かせ、地域を元気にする力を秘めています。「猩猩宴 in 男鹿」は、その象徴的な舞台でありました。今後も日本各地でこうした動きが広がり、サケの力によって、地域が活性化していくことがイメージできるイベントでした。

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クラフトサケの波に乗って「サケグリア」がやってくる~新たな日本酒の楽しみ方

近年、日本酒業界に「クラフトサケ」という新たな潮流が生まれ、多様な味わいや自由な発想のお酒が次々と登場し、愛飲家を魅了しています。このクラフトサケの台頭は、既存の日本酒の枠にとらわれない柔軟な発想を促し、その影響は、にわかに「サケグリア」への関心をも高めているようです。伝統的な「清酒」のイメージを刷新し、日本酒の裾野を広げる二つの動きは、それぞれ異なるアプローチながらも、新たな飲酒文化の創造に貢献しています。

クラフトサケとは何か? 革新的な醸造の世界

まず、昨今の日本酒市場を語る上で欠かせないのが「クラフトサケ」です。これは、簡単に言えば「日本酒の製造技術をベースとしながらも、酒税法上の『清酒』の定義に縛られずに、多様な原料や製法を取り入れて造られたお酒」を指します。一般社団法人クラフトサケブリュワリー協会が提唱する概念であり、その最大の特徴は、以下の点に集約されます。

【多様な副原料の使用】
通常の清酒が米、米麹、水、そして少量の醸造アルコールのみを原料とするのに対し、クラフトサケは仕込みの段階でフルーツ(柑橘類、リンゴ、ベリーなど)、ハーブ(ミント、レモングラスなど)、スパイス(シナモン、カルダモンなど)、さらにはコーヒーや茶葉、野菜などを加えることが許容されます。これにより、これまでの日本酒にはなかった、斬新で個性豊かな風味や香りが生まれます。

【製法の多様性】
「搾り」の工程を経ないどぶろくのような形態や、発酵方法に工夫を凝らすなど、酒税法で定められた清酒の製法以外の方法を用いることで、テクスチャーや口当たりにも多様性が生まれます。

【法的分類の変化】
これらの製法上の特徴から、クラフトサケの多くは酒税法上「その他の醸造酒」や「雑酒」に分類されます。つまり、厳密には「日本酒(清酒)」ではないものの、その根底には日本酒造りの精神と技術が息づいています。

【小規模醸造と個性】
「クラフト」の名の通り、多くは小規模な醸造所(クラフトサケブリュワリー)で、醸造家の自由な発想と探求心に基づいて造られます。これにより、大量生産品にはない、それぞれの蔵元の個性や地域性が強く反映されたお酒が生まれます。

クラフトサケは、日本酒の伝統的なイメージを打ち破り、新たなファン層を獲得することに成功しています。特に若い世代や海外の消費者からは、その多様な味わいや、食事とのペアリングの面白さが高く評価されています。

にわかに注目を集める「サケグリア」とは?

一方、「サケグリア」は、クラフトサケとは異なるアプローチで、日本酒の新たな可能性を切り開いています。サケグリアとは、完成した日本酒をベースに、フルーツ、ハーブ、スパイスなどを漬け込んで作られる、いわば「日本酒カクテル」です。ワインをベースにするサングリアの日本酒版と考えると、イメージしやすいでしょう。

サケグリアが注目を集める背景には、クラフトサケによって「日本酒は自由な発想で楽しめる」という認識が広がったことが大きく影響していると考えられます。クラフトサケが醸造段階で多様な素材を取り込むことで、日本酒の味の可能性を広げたのに対し、サケグリアは飲用段階でのアレンジによって、その魅力を引き出すことを目指します。

手軽なアレンジ性
クラフトサケが専門的な醸造設備と知識を必要とするのに対し、サケグリアは飲食店はもちろん、家庭でも簡単に作ることができます。好きな日本酒に、旬のフルーツや手軽なスパイスを漬け込むだけで、手軽にオリジナルのサケグリアが完成します。

飲みやすさと華やかさ
日本酒特有の風味をフルーツの爽やかさや甘みで和らげることで、日本酒初心者や、これまであまり日本酒を飲まなかった層でも親しみやすく、カクテル感覚で楽しめます。見た目の彩りも豊かで、SNS映えすることから、パーティーシーンや女子会などでの需要も高まっています。

日本酒の新たな消費提案
サケグリアは、既存の日本酒に新たな価値を付加し、消費の機会を創出します。低価格帯の日本酒でも、フルーツとの組み合わせで新たな魅力を引き出すことができ、家庭での日常的な飲酒シーンにも日本酒を広めるきっかけとなります。

クラフトサケとサケグリア:異なるアプローチが生む相乗効果

クラフトサケとサケグリアは、どちらも日本酒の多様化を促し、市場を活性化させる点で共通しています。しかし、その違いは明確です。

【クラフトサケ】
「醸造段階」で伝統の枠を超え、新しいお酒を「生み出す」こと。

【サケグリア】
「飲用段階」で既存の日本酒に手を加え、新たな「楽しみ方」を提案すること。

クラフトサケが醸造家による創造性と技術革新の象徴であるならば、サケグリアは消費者自身が日本酒をアレンジし、自分好みの味わいを創り出す「DIY的な楽しみ」を創出します。

クラフトサケの登場が、消費者の「日本酒に対する固定観念」を打ち破り、「日本酒はもっと自由で多様なもの」という認識を広げたことで、サケグリアのような既存の日本酒のアレンジも、より受け入れられやすくなったと言えるでしょう。

この二つの動きは、それぞれが独立しつつも、日本酒が「伝統的な飲み物」から「多様なライフスタイルに寄り添う飲み物」へと進化していく過程において、互いに相乗効果を生み出していると考えられます。クラフトサケによって生み出される個性豊かな日本酒が、さらにサケグリアのベースとして活用され、無限の組み合わせが生まれる可能性も秘めています。

日本酒の未来は、伝統を守りつつも、こうした自由な発想と新しい試みが交差する中で、ますます豊かに、そして魅力的に広がっていくことでしょう。

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発酵食品への高まる関心と、ISETAN 発酵 WEEKにおけるクラフトサケ「稲とアガベ」の魅力

近年、健康意識の高まりとともに、発酵食品への注目が飛躍的に増しています。「菌活」という言葉も浸透し、ヨーグルト、納豆、味噌、醤油といったお馴染みの食品に加え、様々な発酵食品が私たちの食卓に並ぶようになりました。この発酵ブームは一過性のものではなく、美味しさと健康を両立させるライフスタイルの一部として定着しつつあります。

このような背景の中で、伊勢丹新宿店が開催する「ISETAN 発酵 WEEK(7月23日水曜日 ~ 7月29日火曜日)」は、まさに時宜を得たイベントとして反響を呼んでいます。単なる食品販売に留まらず、発酵の奥深さや多様な魅力を体験できるこのイベントは、発酵食品への関心をさらに深めるきっかけとなっています。全国各地から集められた個性豊かな発酵食品の数々は、訪れる人々に新たな発見と驚きを提供し、発酵文化の裾野を広げています。

「ISETAN 発酵 WEEK」の魅力は多岐にわたりますが、特に注目すべきは、日本酒の中でも「クラフトサケ」、そして具体的には「稲とアガベ」というユニークな存在に焦点を当てている点です。従来の日本酒の枠にとらわれず、新たな挑戦を続けるクラフトサケは、近年注目度が高まっています。その中でも「稲とアガベ」は、秋田県男鹿市に拠点を置き、伝統的な日本酒の製法に加えて、副原料を積極的に用いることで、これまでにない風味や個性を生み出すクラフトサケ醸造所として知られています。

クラフトサケ「稲とアガベ」が示す新たな日本酒の可能性

日本酒は、米・米麹・水というシンプルな原料から、酵母の働きによって複雑で奥深い味わいを生み出す、まさに発酵の芸術品です。その製造過程は、温度管理、発酵の進捗、そして杜氏の卓越した技術と経験によって緻密にコントロールされ、そこから生まれる多様な香りと味わいは、世界中の美食家を魅了してきました。

しかし、クラフトサケというカテゴリーは、この伝統に敬意を払いながらも、新たな解釈を加えることで、日本酒の可能性を広げています。「稲とアガベ」がその代表例であり、彼らは米と米麹に加え、例えばアガベシロップやフルーツ、ハーブといった多岐にわたる副原料を使用することで、これまでの日本酒にはなかったような、より自由で創造的な味わいのサケを生み出しています。これにより、日本酒はよりカジュアルに、そしてより多様な食のシーンで楽しめるものへと進化を遂げているのです。

「ISETAN 発酵 WEEK」で「稲とアガベ」が出展されることは、主催者側の明確な意図を感じさせます。それは、発酵食品の多様性を追求する中で、伝統と革新が融合したクラフトサケの最前線を紹介したいというメッセージに他なりません。訪れる人々は、「稲とアガベ」のブースで、彼らの哲学や、副原料が生み出す驚くべきフレーバーのサケに出会うことができるでしょう。

試飲を通じて、それぞれのサケが持つ個性や、一般的な日本酒とは異なる新たなペアリングの可能性を探ることは、まさに「発酵WEEK」ならではの体験となります。例えば、ハーブを使ったクラフトサケは、魚介類やハーブを多用する地中海料理との相性が良いかもしれませんし、フルーツを使ったサケは、デザートワインのような感覚で楽しめる可能性も秘めています。

発酵の未来を拓くクラフトサケ

「ISETAN 発酵 WEEK」における「稲とアガベ」の出展は、発酵食品への関心を高めるだけでなく、クラフトサケという日本の伝統文化における新たな潮流に改めて光を当てる重要な役割を担っています。発酵食品の多様性と奥深さを再認識し、そして「稲とアガベ」が提示する豊かな発酵の魅力を発見する場として、このイベントは私たちに新たな食の楽しみを提案してくれます。

発酵ブームの追い風を受け、クラフトサケの魅力がさらに多くの人々に広まることで、日本の食文化はより一層多様で豊かなものになるでしょう。このイベントを通じて、「稲とアガベ」のユニークな挑戦が多くの人々に届き、クラフトサケの未来がさらに拓かれることを期待せずにはいられません。

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パリ発の革新!WAKAZEが贈る、夏に弾ける「サマーフォール ゆず」スパークリング日本酒缶、本日より全国のローソンで先行販売開始!

【東京、2025年7月8日】日本酒の世界に新たな風を吹き込む、フランス・パリ発の日本酒ベンチャー、WAKAZEが本日、満を持してスパークリング日本酒缶「サマーフォール ゆず」を全国のローソンにて先行販売を開始しました。来る7月22日の本格発売に先駆け、いち早く楽しめる機会となります。夏にぴったりの爽やかなゆずの香りと、心地よい泡立ちが特徴のこの新商品は、従来の日本酒のイメージを覆し、幅広い層に日本酒の魅力を届けることが期待されています。

パリ発の日本酒革命児「WAKAZE」と「クラフトサケ」の潮流

WAKAZEは、「日本酒の可能性を世界に広げる」という壮大なビジョンを掲げ、2018年にフランス・パリで酒蔵を設立した異色の存在です。伝統的な日本酒の製法を守りつつも、ワインの醸造技術やフランスのテロワールを取り入れるなど、既存の枠にとらわれない革新的な酒造りに挑戦してきました。彼らの造る日本酒は、その斬新な味わいと洗練されたデザインで、瞬く間に世界中の美食家たちを魅了し、日本酒の国際的な評価を押し上げる一翼を担っています。

近年、世界中で「クラフトサケ」への注目が高まっています。これは、小規模な醸造所が個性的な製法や地元産素材を積極的に取り入れ、多様な味わいを生み出す動きを指します。日本酒業界はまさに変革期を迎えており、伝統を守りつつも新たな挑戦を続けるWAKAZEのような存在が、その最前線を牽引しています。

今回の「サマーフォール ゆず」は、WAKAZEが培ってきたグローバルな感性と、日本の豊かな素材が融合した、まさに集大成ともいえる一本です。彼らの真骨頂である「枠にとらわれない日本酒造り」が、手軽な缶という形で、より多くの人々に届けられることになります。今年1月に発売され、その革新的な味わいが人気を博している「サマーフォール クラシック」に続く、新たなラインナップとしても注目が集まっています。

夏を彩る、爽やかなゆずの香り「サマーフォール ゆず」の魅力

「サマーフォール ゆず」は、その名の通り、夏の日の木漏れ日のようにキラキラと輝く、爽快な味わいが特徴です。最大の魅力は、口に含んだ瞬間に広がる、国産ゆずの華やかな香りと、日本酒由来のふくよかな旨みが見事に調和している点にあります。

この独創的な味わいを生み出す秘訣は、白麹とワイン酵母の組み合わせ、そして厳選された素材にあります。クエン酸を生成する白麹を使用することで、爽やかな酸味とキレを生み出し、さらに、ワイン酵母を用いることで、果実を思わせるフルーティーな香りと、複雑ながらも軽やかな味わいを引き出すことに成功しています。WAKAZEは、フランスでの醸造においても現地のフルーツ素材などを積極的に取り入れていますが、この「サマーフォール ゆず」では、日本ならではの豊かなゆずを贅沢に使用しています。

また、日本酒の要である米については、国産米を78%まで精米し、米本来の旨みを引き出しつつも、軽やかで飲みやすい酒質を実現しています。本商品のアルコール度数は11%。シャンパンのようなきめ細やかな泡が心地よく弾け、非常に飲みやすい仕上がりとなっています。この軽やかさは、日本酒初心者の方にも気軽に手に取っていただけるだけでなく、普段日本酒をあまり飲まない方にも、新たな発見をもたらしてくれるでしょう。

食事とのペアリングも幅広く、特に魚介類や鶏肉料理、また和食全般はもちろんのこと、チーズやフルーツを使った軽食などとも相性が良く、幅広いシーンで楽しめる一本として期待が高まります。

手軽に楽しむ「日本酒」の新しいカタチ

近年、日本酒業界では、消費者のライフスタイルや嗜好の変化に合わせて、様々な取り組みが行われています。その中でも、缶入りのスパークリング日本酒は、その手軽さ、携帯性の高さ、そしてスタイリッシュなデザインから、若者層やアウトドア愛好家など、新たな層へのアプローチとして注目を集めています。

「サマーフォール ゆず」は、まさしくこのトレンドを象徴する商品と言えるでしょう。250mlという飲み切りサイズは、一人で気軽に楽しむのはもちろんのこと、友人とのちょっとした集まりや、ピクニック、バーベキューといったアウトドアシーンにも最適です。栓抜き不要で、いつでもどこでも、冷やしてすぐに楽しめる手軽さは、日本酒の飲用シーンを格段に広げることでしょう。

全国ローソンでの先行販売がもたらすインパクト

今回の全国のローソンでの先行販売は、「サマーフォール ゆず」をより多くの消費者に届ける上で非常に大きな意味を持ちます。コンビニエンスストアという身近なチャネルを通じて販売されることで、これまで日本酒に馴染みがなかった層にも、気軽に手に取ってもらえる機会が格段に増えるからです。7月22日の本格発売に先駆けてローソンで手に入るというニュースは、日本酒ファンのみならず、好奇心旺盛な消費者にとっても大きな話題となることでしょう。

WAKAZEは、これまでの活動を通じて、日本酒の多様な可能性を世界に示してきました。今回の「サマーフォール ゆず」のリリースは、その哲学をさらに推し進め、日本国内においても、日本酒の飲用スタイルに新たな選択肢を提示するものです。

まとめ

フランス・パリで培われたWAKAZEの革新的なスピリットと、日本の豊かな素材、そして白麹とワイン酵母による独創的な醸造技術が融合して生まれたスパークリング日本酒缶「サマーフォール ゆず」。その爽やかな香りと心地よい泡立ちは、夏の暑さを忘れさせてくれるような、まさに「飲む香水」とも呼べる逸品です。

本日より全国のローソンで先行販売開始されたこの「サマーフォール ゆず」は、日本酒の新たな扉を開き、より多くの人々に日本酒の魅力を伝える役割を担うことでしょう。クラフトサケとして世界が注目するWAKAZEが贈る、この新しい挑戦をぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

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世界を席巻する「haccoba」クラフトサケが拓く日本酒の新たな地平

福島県南相馬市小高に拠点を構える革新的な酒蔵「haccoba(ハッコウバ)」が、そのユニークな「クラフトサケ」で世界市場での存在感を急速に高めています。アジア圏での確かな足場を築きつつ、今年2025年春からは欧米への本格的な輸出も開始。その勢いは、直近の海外イベントでの目覚ましい成果によってさらに加速しています。

haccobaは、2021年2月に原発事故で一時人口がゼロになった小高の地で、「酒づくりをもっと自由に」という理念のもと創業しました。伝統的な日本酒の枠にとらわれず、かつての「どぶろく」文化を現代的に再解釈し、副原料の使用や独自の醸造方法を取り入れることで、これまでにない味わいと体験を提供する「クラフトサケ」という新ジャンルを確立しています。2023年7月には隣町の浪江にも醸造所を設け、生産規模を拡大しています。

「クラフトサケ」とは? 日本酒の新たな可能性

haccobaが提唱し、その海外戦略の核となっている「クラフトサケ」とは一体何でしょうか。これは、一般的な日本酒の定義(米、米麹、水のみを原料とし、清酒酵母で発酵させ、ろ過したものであることなど)にとらわれず、果物、ハーブ、スパイスなどの副原料を使用したり、異なる発酵方法や酵母を取り入れたりすることで、多様なアプローチから新しい味わいを追求する、自由な発想の酒を指します。

伝統的な日本酒が守り継いできた規範を尊重しつつも、より広範な食文化やライフスタイルに寄り添い、新たな飲用シーンを創出することを目指しています。例えば、haccobaでは「ホップ酒」「スモークモルトを使ったSake」「梅酒粕を発酵させたSake」など、多様なクラフトサケを世に送り出し、日本酒の持つ可能性を大きく広げています。こうした固定観念にとらわれない柔軟な姿勢が、国内外の多様な消費者の心をつかむ要因となっています。

香港での目覚ましい成功と国際的な評価

そのグローバル展開の成功を象徴する出来事が、2025年6月上旬に香港で開催された日本酒イベント「若手の夜明け 香港 2025(SAKEJUMP HONG KONG 2025)」でした。このイベントは、日本の若手醸造家たちが自慢の酒を披露する国際的な舞台であり、haccobaはここで見事「売上1位」という輝かしい実績を記録しました。香港の日本酒愛好家や現地の飲食店関係者たちが、haccobaの革新的な酒造りとその魅力に強く惹きつけられた証と言えるでしょう。

さらに、haccobaの快進撃はこれに留まりません。権威ある「ICC SAKE AWARD」の予選ラウンドでは、並み居る強豪蔵を抑え、堂々の「1位通過」を果たしました。これは、単なる人気だけでなく、その品質と技術、そして未来への可能性が専門家からも高く評価されていることを示しています。革新的な酒造りでありながらも、日本酒としての高い品質基準を満たしていることが、国際的な舞台で証明された形です。

アジアから欧米へ、世界を見据えるhaccoba

これまでタイ、香港、シンガポール、台湾といったアジア圏で着実に販路を拡大してきたhaccobaは、特に台湾では輸出開始からわずか3ヶ月でミシュラン掲載店を含む20店以上に納入するなど、その品質と独自性が高く評価されてきました。アジア市場での成功が、欧米市場への進出に大きな自信を与えています。

そして、2025年春からは、満を持してアメリカ、オランダ、ドイツといった欧米市場への輸出も本格的にスタートしました。各国のパートナーと連携し、現地の飲食シーンや流通構造に合わせた商品展開を積極的に進めています。アメリカ市場への挑戦においては、2024年に経済産業省の起業家育成・海外派遣プログラム「J-StarX Food Frontiers USA」の第1期にhaccobaが採択され、国からもその事業モデルとグローバルな成長可能性が高く評価されています。

福島という地の歴史と向き合いながら、固定観念にとらわれない自由な発想で酒造りの新たな可能性を追求するhaccoba。「日本酒が、世界各地で土着の“Sake”になる未来を描けたら嬉しい」という彼らの思いは、日本の伝統的な酒造りの概念を超え、グローバルな飲食文化に貢献しようとする強い意志の表れです。香港での成功を足がかりに、haccobaの「クラフトサケ」が世界のSakeシーンに新たな風を巻き起こす日も近いでしょう。

▶ haccoba のサケ

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伝統と革新が交差する「クラフトサケ」の最前線:日本酒市場に新風を吹き込む多様な魅力と未来

かつて「清酒」という厳格な枠の中で発展してきた日本の酒造りに、近年、大胆な革新をもたらす新たな潮流が生まれています。それが「クラフトサケ」です。酒税法の「清酒」の定義にとらわれず、自由な発想と技術で造られるこれらの『日本酒的なお酒』は、伝統を重んじつつも新しい価値を創造し、国内外の市場に大きなインパクトを与えています。2025年6月現在、クラフトサケはどのような状況にあるのでしょうか。その最前線を追います。

クラフトサケの誕生と広がる解釈

クラフトサケという言葉は、まだ法的な定義があるわけではありませんが、その概念は近年急速に浸透してきました。2000年代以降のクラフトビールやクラフトジンブームと同様に、酒類全般で「多様性」「個性」「少量生産」「作り手の顔が見える」といった価値観が重視されるようになったことが背景にあります。

伝統的な日本酒は酒税法で厳しく規定されており、原料は米、米麹、水に限定され、醸造アルコールの添加割合も細かく定められています。この厳格なルールがあるため、既存の日本酒蔵は新たな挑戦をしにくい状況にありました。しかし、日本酒の消費量が減少する中で、新しい顧客層を開拓し、日本酒の魅力を再構築する動きが求められていたのです。

そこで登場したのが、酒税法の「清酒」の枠にとらわれない新しいお酒造りです。例えば、米や米麹、水以外の副原料(果物・ハーブ・スパイスなど)を使用したり、清酒では認められないような製法(ワイン酵母の使用・木樽での熟成など)を取り入れたりするケースが多く見られます。これにより、法律上は「清酒」ではなく「その他の醸造酒」や「リキュール」などに分類されることになりますが、作り手のこだわりや創造性が詰まった「日本酒的なお酒」として、独自の存在感を放っています。この多様なアプローチこそが、クラフトサケの最大の魅力と言えるでしょう。

今現在のクラフトサケを形作る主要な潮流

現在、クラフトサケの市場を形成している主要な潮流は、以下の要素で構成されています。

1.多様な副原料の積極的な活用

クラフトサケの象徴ともいえるのが、副原料の積極的な使用です。伝統的な日本酒では使わない果物(柑橘類・リンゴ・ベリーなど)、ハーブ(ミント・パクチー・レモングラスなど)、スパイス(胡椒・カルダモン・シナモンなど)、さらにはコーヒー豆やチョコレート、お茶などを副原料として加えることで、これまでにない風味や香りを生み出しています。これにより、日本酒の苦手な人や、新しい味覚体験を求める消費者に強くアピールし、食の多様化が進む現代のニーズに応えています。例えば、柑橘系の爽やかな酸味を持つクラフトサケは食前酒としても人気を集め、ハーブやスパイスを使ったものは、特定の料理とのペアリングを楽しむ新たな提案を生み出しています。

2.製法の多様化と実験的な試み

製法においても、そのアプローチは多岐にわたります。ワイン酵母やビール酵母の使用は、日本酒では見られない酸味や複雑な香りを引き出し、味わいのバリエーションを格段に広げています。また、ウイスキーやワインの熟成に使われる木樽での熟成は、バニラのような甘い香りを加えたり、深みのある色合いをもたらしたりと、伝統的な日本酒にはないキャラクターを与えます。

さらに、低温で長期間発酵させることで繊細なアロマを引き出したり、逆に高温で短期間発酵させることで力強い個性を生み出したりするなど、発酵プロセスの革新も進んでいます。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵を取り入れたスパークリングサケは、きめ細やかな泡立ちと爽快な口当たりで人気を博し、日本酒の飲用シーンを広げています。こうした実験的な試みは、時に「日本酒らしさ」とは異なる風味を生み出しますが、それがかえって新しい価値として評価されています。

3.小規模生産と地域性への強いこだわり

多くのクラフトサケは、大手メーカーのような大量生産ではなく、小規模な醸造所で手作業に近い形で造られます。これにより、作り手の個性が色濃く反映され、各醸造所の哲学や想いが製品に宿ります。また、地域ごとの風土や素材を活かした「テロワール」を表現する動きも盛んです。地元の米や水はもちろんのこと、その土地でしか手に入らない特別な副原料を用いることで、唯一無二のクラフトサケが生まれています。クラウドファンディングを活用して設備投資を行い、小規模ながらも意欲的な醸造を開始する新しい担い手も増加しており、地域活性化の一助としても期待されています。

4.共感を呼ぶブランディングと直接的なコミュニケーション

従来の日本酒が「銘柄」や「産地」で語られることが多かったのに対し、クラフトサケは「作り手の哲学」「製品に込められたストーリー」「デザイン性の高いボトルやラベル」といった要素が重視されます。現代の消費者は、単に製品を消費するだけでなく、その背景にある物語や作り手の情熱に共感することを求めます。SNSなどを積極的に活用し、作り手自らが消費者に直接語りかけ、製品の背景にある物語を伝えることで、強い共感を生み出しています。おしゃれで目を引くパッケージデザインは、特に若い世代や女性層への訴求力を高め、ギフトとしても選ばれる機会が増えています。

5.新たな飲用シーンの提案と海外市場への挑戦

クラフトサケは、その多様な味わいとデザイン性の高さから、これまでの日本酒にはなかった新たな飲用シーンを提案しています。食中酒としてはもちろん、食前酒やデザート酒として楽しんだり、カクテルのベースとして使用されたりするなど、その可能性は無限大です。

また、クラフトサケは海外市場でも大きな注目を集めています。そのユニークな風味や自由な発想は、海外の食文化やカクテルシーンにも柔軟に対応できる可能性を秘めています。輸出に力を入れる醸造所も増え、日本酒の新しい顔として、世界中でファンを獲得し始めています。ニューヨークやロンドンなどの国際都市では、クラフトサケを取り扱うバーやレストランが増加しており、今後のさらなる市場拡大が期待されます。

今後の展望

クラフトサケは、日本酒業界全体に活気と多様性をもたらし、伝統的な清酒が持つ奥深さと、クラフトサケが持つ革新性が互いに刺激し合い、日本酒というカテゴリーそのものを進化させています。

もちろん、酒税法の定義との兼ね合いや、新規参入の難しさ、小規模生産ゆえの安定供給の課題なども存在します。それでも、消費者の「個性的なもの」「ストーリーのあるもの」を求める声が強まる中、クラフトサケの存在感は今後ますます高まっていくと予想されます。既存の酒蔵がクラフトサケの要素を取り入れた新商品を開発したり、クラフトサケ専門の醸造所がさらに増加したりするなど、その動きは加速していくでしょう。

クラフトサケは、単なる「ブーム」ではなく、日本酒の未来を形作る重要な潮流として、その進化から目が離せません。私たちは、この新しいお酒がもたらす驚きと発見を、これからも楽しみにしています。


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▶ 世界を席巻する「haccoba」クラフトサケが拓く日本酒の新たな地平(2025年7月5日)