「危険なので真似しないで」がSNSで大バズり!カステラと日本酒の衝撃マリアージュが示す新ペアリングの時代

10月21日に投稿された菊水酒造の公式X(旧Twitter)「カステラに日本酒を染みこませてはいけません。止まらなくなります。危険なので真似しないように。」という『警告』が、SNS上で爆発的な話題を呼んでいます。特に同社の代表銘柄である「ふなぐち 菊水一番しぼり」とカステラを合わせた短い動画は、多くの日本酒ファンやスイーツ愛好家の好奇心を刺激し、試す人が続出。その結果、賛同と驚きの声が相次ぎ、「危険すぎる」「まさに禁断の味」といった感想と共に広く拡散され、投稿は一躍、大きな注目を集めることとなりました。

「危険な組み合わせ」が証明した日本酒の多様性

この背景には、消費者の間で高まる「自由で新しい日本酒の楽しみ方」への希求があると考えられます。伝統的な和食とのペアリングが主流だった日本酒の世界に、「スイーツ」という意外な組み合わせが斬り込んできたことは、その固定概念を打ち破る象徴的な出来事と言えるでしょう。

一般的に、濃厚な甘さを持つカステラには、同じく濃厚な甘口や熟成古酒などが合うとされてきました。しかし、菊水酒造が推奨した「ふなぐち」は、フレッシュで濃厚ながらも力強いアルコール感を持つタイプです。このアルコール感が、カステラのバターや卵の風味、そしてザラメの強い甘さを「キレ」で引き締めつつ、同時に日本酒由来の「米の旨み」とカステラの「旨み・甘み」を完璧に融合させます。この絶妙なバランスこそが、「止まらなくなる」という中毒性を生み出した最大の理由だと推察されます。

今後の日本酒ペアリングが目指す「三位一体」

このカステラ事件は、これからの日本酒ペアリングのトレンドを予見させるものです。近年の外食産業では、日本酒とフレンチ・イタリアン・中華といった異ジャンルの料理を合わせる「SAKEペアリングレストラン」が人気を博しています。これは単に料理と酒を並べるのではなく、それぞれの要素を深く理解し、相乗効果で全く新しい味わいを創出する「マリアージュ」を追求する動きです。

ここにスイーツが加わろうとしているわけですが、以下の三つの要素が鍵となると考えられます。

【脱・和食依存】

伝統に囚われず、チョコレート、チーズ、スパイス料理など、多様な食材との組み合わせに積極的に挑戦する姿勢です。今回のカステラは、その一つの成功例と言えるでしょう。

【要素の分解と再構築】

料理と日本酒を、香り・酸味・甘み・旨み・アルコール度数といった個々の要素に分解し、「温度」や「濃度」まで緻密に調整して合わせるプロの技術が、より重要になります。

【情報発信とコミュニティ】

蔵元や飲食店が、SNSなどを通じて新しいペアリングの「発見」をエンターテイメントとして発信し、消費者との双方向のコミュニケーションでトレンドを作り上げていくことが、市場の拡大に不可欠となります。


菊水酒造の投稿は、日本酒の持つ無限の可能性を、遊び心とユーモアを交えて世に知らしめました。「危険」というキャッチーな言葉が、新たな「発見」への扉を開き、日本酒の楽しみ方を大きく広げるきっかけとなったことは間違いありません。日本酒が今後、和食だけでなく世界の食卓を彩る存在となるためにも、こうした自由な発想と発信が、ますます重要になってくるでしょう。

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