日本酒の常識を覆す革新「凍眠生酒」:TOMIN SAKE COMPANYが拓く新たな可能性

【東京、2025年7月11日】日本酒の世界に、新たな地平を切り拓く革新的な技術が注目を集めています。富山県高岡市に本社を構える株式会社TOMIN SAKE COMPANYが展開する「凍眠生酒」です。急速液体冷凍機「凍眠」を用いたこの画期的な製法は、これまで酒蔵でしか味わえなかった搾りたてのフレッシュな生酒を、全国はもとより世界中の愛飲家へ届けることを可能にし、日本酒の流通と楽しみ方に大きな変革をもたらしています。

究極の鮮度を閉じ込める「凍眠」技術

「凍眠生酒」の核となるのは、関連会社株式会社テクニカンが開発した急速液体冷凍機「凍眠」です。従来の冷凍技術が空気を使って凍らせるのに対し、「凍眠」はマイナス30℃以下の液体(アルコール溶液)に浸すことで、食品が凍る最大氷結晶生成帯を極めて短時間で通過させます。これにより、細胞組織へのダメージを最小限に抑え、解凍後の品質劣化を防ぐことができるのです。この技術を日本酒に応用することで、搾りたての風味や香りを損なうことなく、瓶ごと瞬間冷凍し、まさに「時を止めた」かのような状態で保存・流通を実現しています。

日本酒の生酒は、火入れ(加熱殺菌)を一切行わないため、デリケートで品質管理が難しいという特徴があります。通常、生酒は冷蔵保存が必須であり、賞味期限も短いため、遠隔地への輸送や長期保存は困難でした。しかし、「凍眠生酒」は、製造から直ちに冷凍することで、酒質変化の要因となる酸素との接触や温度変化を極限まで抑え込み、解凍後も、まるで搾りたてのようなフレッシュな味わいを実現したのです。これにより消費者は、自宅で、または飲食店で、まるで酒蔵訪問したかのような体験を得られるようになりました。

2023年5月19日発売開始

「凍眠生酒」は、2023年5月19日に初めて市場に登場しました。テクニカンが手掛ける冷凍食品セレクトショップ「TOMIN FROZEN」のECサイトにて先行販売が開始され、翌日からは横浜の実店舗でも販売・試飲イベントが開催されました。

最初のリリースでは、日本酒「獺祭」で知られる旭酒造の「獺祭 純米吟醸磨き三割九分寒造早槽」をはじめ、南部美人(岩手県)、天吹酒造(佐賀県)など、全国26の蔵元とコラボレーションした36銘柄が同時に販売開始されました。これにより消費者は、一度に多様な蔵元の「凍眠生酒」を体験できる機会を得ることとなりました。

さらに今年3月、公式オンラインストアをリニューアルオープンし、凍眠生酒を含む取り扱い商品をさらに拡充。加えて今月、帝国ホテルのオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」でも取り扱いが始まり、より幅広い層の消費者にその魅力が届くようになりました。

地域と日本酒の新たな架け橋

TOMIN SAKE COMPANYは、サッポロビールや月桂冠といった大手メーカーの特約店であると同時に、富山・石川・福井の地酒に精通する老舗です。同社が「凍眠生酒」事業に注力する背景には、単なるビジネスチャンスだけでなく、地域文化としての日本酒への深い愛情と、その魅力をより多くの人に伝えたいという強い想いがあります。

同社ではこれを、日本酒のテロワールを未来へつなぐ技術だと考えています。酒蔵の想いや、その土地ならではの米、水、気候が育んだ唯一無二の味わいを、劣化させることなく消費者に届ける―――これは、日本酒の新たな可能性を切り拓く上で、非常に重要な技術になるはずです。

特に、知名度は高くなくとも品質の高い地酒は、これまで流通の壁に阻まれ、その魅力を十分に伝えきれていなかったケースも少なくありません。「凍眠生酒」は、そうした隠れた名酒に光を当て、全国そして世界へと販路を拡大する強力なツールとなります。

日本酒文化の未来を創造する挑戦

「凍眠生酒」は、単なる冷凍日本酒ではありません。それは、日本酒の品質管理、流通、そして楽しみ方そのものに革新をもたらす、未来志向の挑戦です。TOMIN SAKE COMPANYは、この技術を通じて、これまで以上に多様な日本酒を世界に紹介し、その奥深さや魅力を広く伝える役割を担っています。

日本酒業界は、伝統を守りながらも常に進化を続けています。その中で、「凍眠生酒」が描く未来は、まさに無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。TOMIN SAKE COMPANYの挑戦が、日本の誇るべき酒文化を、これからも世界へと発信し続けることを期待しています。

「宵火」、久留米焼きとりに捧ぐ至福の一献

福岡県久留米市に、食通たちの熱い注目を集める新たな日本酒が誕生しました。その名も「宵火(Yoibi)」。久留米が誇るB級グルメの王者、久留米焼きとりとの最高のペアリングを目指して開発されたこの酒は、早くも地元の飲食店関係者や愛飲家の間で話題を呼んでいます。

久留米焼きとり、その奥深き世界と「100年フード」認定

久留米市は、実は日本有数の焼きとり文化を持つ街です。単に鶏肉を串に刺して焼くだけでなく、豚、牛、魚介、野菜など、バラエティ豊かな食材が使われ、その種類は数百にも及ぶと言われています。それぞれの素材に合わせた焼き加減や味付け、そして提供されるタレや薬味の工夫など、久留米焼きとりは奥深い食文化を形成しています。豚バラやダルム(豚の直腸)、鳥皮など、独特の名称を持つ串も多く、地元の人々にとっては日常に欠かせないソウルフードとなっています。

そんな久留米焼きとりが、2025年3月に文化庁の「100年フード」に認定されました。これは、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を保護・継承する目的で設けられた制度です。この認定は、久留米焼きとりが単なるB級グルメに留まらず、地域の歴史と文化を色濃く反映した、未来へ継承すべき大切な食文化であることを改めて示す出来事となりました。

「宵火」誕生秘話:100年フード認定が後押しした新たな挑戦

「宵火」を開発したのは、久留米市で酒類販売を手掛けるIZUMIYAです。久留米焼きとりの「100年フード」認定は、この地元の酒販店にとって大きな喜びであり、同時にこの素晴らしい食文化をさらに盛り上げていきたいという強い使命感をもたらしました。久留米焼きとりは、脂の乗ったものからあっさりしたもの、塩味、タレ味と非常に幅広い味わいを持つため、従来の日本酒では相性の良い串が限られるという課題がありました。そこで、より多くの串と調和し、それぞれの美味しさを引き立てるような、久留米焼きとりのための日本酒を造るという強い思いが芽生えました。

この構想のもとIZUMIYAは、久留米で「庭のうぐいす」を醸造する山口酒造場に協力を依頼しました。山口酒造場は、創業以来、地域に根差した酒造りを行い、国内外で高い評価を受ける実力派の蔵元です。両者は、久留米焼きとりの様々な串を食べ比べ、どのような酒質が最適かを徹底的に議論しました。「100年フード」認定後の機運の高まりも背景に、短期間で集中的な試行錯誤を重ね、ついに理想の日本酒「宵火」が完成しました。

「宵火」の酒質:久留米焼きとりのための設計思想

「宵火」は、発泡感のある純米吟醸酒として仕込まれています。麹米には糸島産の山田錦、掛米には久留米産の夢一献を使用。久留米焼きとりの特徴である脂の旨味を受け止めるしっかりとした骨格を持ちながらも、後味は驚くほどすっきりとキレが良いのが特徴です。
その酒質は、口に含んだ瞬間に焼きとりの脂を洗い流し、次の串へと誘うような、“口内リフレッシュ”効果を意識して設計されています。

また、「宵火」は冷やして飲むのはもちろんのこと、ぬる燗でも楽しめるように設計されています。温めることで米の旨味がより一層引き立ち、タレ味の串や濃厚な味わいの串との相性が抜群に良くなります。様々な温度帯で楽しめることで、久留米焼きとりの多様な串に寄り添う懐の深さを実現しています。

久留米の夜を彩る「宵火」

「宵火」という名前には、「夜の帳が降り、焼きとりの煙が立ち上る頃、久留米の街で多くの人々が集い、この酒と共に楽しい時間を過ごしてほしい」という願いが込められているといいます。 昨日7月9日から久留米市内の焼きとり店約50店舗で提供が開始され、「串の味がより際立つ」「何杯でもいける」と、すでに多くのファンを獲得しているようです。

「100年フード」に認定され、その価値が再認識された久留米焼きとりの更なる魅力を引き出し、久留米の夜をより一層熱く彩るであろう日本酒「宵火」。久留米を訪れる際は、ぜひこの特別な一本と共に、奥深い焼きとり文化を存分に堪能してみてください。

▶ IZUMIYA楽天市場店

世界を魅了する日本酒の知恵:津南醸造が拓く、環境と共生する未来への道

古来より日本の風土と文化に深く根ざしてきた日本酒は、近年、その奥深い味わいと多様性で世界中の人々を魅了し続けています。2013年には「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、その構成要素として日本酒も注目を集めました。さらに、昨年には「伝統的酒造り」そのものがユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、その技術と文化は国際的にも高い評価を受けています。本日も、宮城県の合同酒「DATE SEVEN」が韓国で初の試飲イベントを開催し、前売り券が完売するほどの人気を博したことは、日本酒が国境を越えて愛されている証左と言えるでしょう。

また、日本酒の醸造過程で生まれる成分、特に「麹菌」が生成するコウジ酸や、豊富なアミノ酸などは、古くから美容や健康に良いとされ、化粧品や健康食品の分野でも世界的に注目されてきました。このように、日本酒は単なる嗜好品に留まらず、その伝統的な技術や由来する成分が持つ潜在的な価値が、現代社会の様々な課題解決に貢献する可能性を秘めているのです。

そして今、日本酒業界は、この伝統と革新の精神を環境問題という喫緊の課題へと向けています。新潟県津南町に拠点を置く津南醸造株式会社が始動した「日本酒アップサイクルプロジェクト」は、まさにその先駆的な取り組みであり、日本酒がこれからの環境を考慮した社会に大いに役立っていく可能性を具体的に示しています。

このプロジェクトは、日本酒の製造過程で排出される酒粕や、日本酒そのものが持つ機能性に着目し、これらを未利用資源として捉え、先端技術と融合させることで新たな価値を創造するものです。その主要な取り組みは以下の三点に集約されます。

まず、酒粕由来の半導体材料開発です。半導体は現代社会の基盤を支える重要素材であり、その製造には環境負荷の高いプロセスが伴います。津南醸造は、酒粕に含まれる有機成分が半導体材料としての可能性を秘めていることに着目し、研究開発を進めています。これは、食品廃棄物から高付加価値な先端材料を生み出すという、資源循環型社会の理想的なモデルであり、石油由来の材料に代わるバイオベースの素材として、環境負荷の低減に大きく貢献すると期待されています。

次に、日本酒由来ナノ粒子「SAKESOME」の化粧品・医療分野への応用です。日本酒に含まれるアミノ酸や有機酸などの有用成分を、独自のナノテクノロジーで超微粒子化し、「SAKESOME」と名付けました。この「SAKESOME」は、その微細な構造により、有効成分の皮膚や体内への浸透性を高め、保湿、抗酸化、美白、アンチエイジングといった美容効果が期待されます。さらに、特定の薬剤を効率的に患部に届けるドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアとしての可能性も模索されており、日本酒が持つ伝統的な価値が、最先端のバイオテクノロジーと融合することで、新たな市場を切り開く可能性を示しています。

そして、未来の食糧問題を見据えた革新的な取り組みが、酒製造由来素材を用いた細胞培養食品原料の検討です。酒粕や醸造過程で生成される酵母や微生物が持つ豊富な栄養素と機能性を活用し、代替肉や代替魚といった細胞培養食品の培養培地や、その構成要素として利用する研究を進めています。これは、酒造りの知見を応用することで、持続可能なタンパク源の確保に貢献し、食料問題の解決に寄与するものです。

津南醸造のこの挑戦は、単一企業の取り組みに留まらず、地元の大学や研究機関、異業種企業との連携を通じて、地域資源が最先端技術と結びつき、新たな産業を創出するモデルケースとなりつつあります。日本酒業界は、その伝統的な技術と知恵を現代の環境課題に応用することで、単なる飲料製造業の枠を超え、持続可能な社会の実現に貢献する重要な役割を担う可能性を秘めているのです。

▶ 津南醸造の日本酒

パリ発の革新!WAKAZEが贈る、夏に弾ける「サマーフォール ゆず」スパークリング日本酒缶、本日より全国のローソンで先行販売開始!

【東京、2025年7月8日】日本酒の世界に新たな風を吹き込む、フランス・パリ発の日本酒ベンチャー、WAKAZEが本日、満を持してスパークリング日本酒缶「サマーフォール ゆず」を全国のローソンにて先行販売を開始しました。来る7月22日の本格発売に先駆け、いち早く楽しめる機会となります。夏にぴったりの爽やかなゆずの香りと、心地よい泡立ちが特徴のこの新商品は、従来の日本酒のイメージを覆し、幅広い層に日本酒の魅力を届けることが期待されています。

パリ発の日本酒革命児「WAKAZE」と「クラフトサケ」の潮流

WAKAZEは、「日本酒の可能性を世界に広げる」という壮大なビジョンを掲げ、2018年にフランス・パリで酒蔵を設立した異色の存在です。伝統的な日本酒の製法を守りつつも、ワインの醸造技術やフランスのテロワールを取り入れるなど、既存の枠にとらわれない革新的な酒造りに挑戦してきました。彼らの造る日本酒は、その斬新な味わいと洗練されたデザインで、瞬く間に世界中の美食家たちを魅了し、日本酒の国際的な評価を押し上げる一翼を担っています。

近年、世界中で「クラフトサケ」への注目が高まっています。これは、小規模な醸造所が個性的な製法や地元産素材を積極的に取り入れ、多様な味わいを生み出す動きを指します。日本酒業界はまさに変革期を迎えており、伝統を守りつつも新たな挑戦を続けるWAKAZEのような存在が、その最前線を牽引しています。

今回の「サマーフォール ゆず」は、WAKAZEが培ってきたグローバルな感性と、日本の豊かな素材が融合した、まさに集大成ともいえる一本です。彼らの真骨頂である「枠にとらわれない日本酒造り」が、手軽な缶という形で、より多くの人々に届けられることになります。今年1月に発売され、その革新的な味わいが人気を博している「サマーフォール クラシック」に続く、新たなラインナップとしても注目が集まっています。

夏を彩る、爽やかなゆずの香り「サマーフォール ゆず」の魅力

「サマーフォール ゆず」は、その名の通り、夏の日の木漏れ日のようにキラキラと輝く、爽快な味わいが特徴です。最大の魅力は、口に含んだ瞬間に広がる、国産ゆずの華やかな香りと、日本酒由来のふくよかな旨みが見事に調和している点にあります。

この独創的な味わいを生み出す秘訣は、白麹とワイン酵母の組み合わせ、そして厳選された素材にあります。クエン酸を生成する白麹を使用することで、爽やかな酸味とキレを生み出し、さらに、ワイン酵母を用いることで、果実を思わせるフルーティーな香りと、複雑ながらも軽やかな味わいを引き出すことに成功しています。WAKAZEは、フランスでの醸造においても現地のフルーツ素材などを積極的に取り入れていますが、この「サマーフォール ゆず」では、日本ならではの豊かなゆずを贅沢に使用しています。

また、日本酒の要である米については、国産米を78%まで精米し、米本来の旨みを引き出しつつも、軽やかで飲みやすい酒質を実現しています。本商品のアルコール度数は11%。シャンパンのようなきめ細やかな泡が心地よく弾け、非常に飲みやすい仕上がりとなっています。この軽やかさは、日本酒初心者の方にも気軽に手に取っていただけるだけでなく、普段日本酒をあまり飲まない方にも、新たな発見をもたらしてくれるでしょう。

食事とのペアリングも幅広く、特に魚介類や鶏肉料理、また和食全般はもちろんのこと、チーズやフルーツを使った軽食などとも相性が良く、幅広いシーンで楽しめる一本として期待が高まります。

手軽に楽しむ「日本酒」の新しいカタチ

近年、日本酒業界では、消費者のライフスタイルや嗜好の変化に合わせて、様々な取り組みが行われています。その中でも、缶入りのスパークリング日本酒は、その手軽さ、携帯性の高さ、そしてスタイリッシュなデザインから、若者層やアウトドア愛好家など、新たな層へのアプローチとして注目を集めています。

「サマーフォール ゆず」は、まさしくこのトレンドを象徴する商品と言えるでしょう。250mlという飲み切りサイズは、一人で気軽に楽しむのはもちろんのこと、友人とのちょっとした集まりや、ピクニック、バーベキューといったアウトドアシーンにも最適です。栓抜き不要で、いつでもどこでも、冷やしてすぐに楽しめる手軽さは、日本酒の飲用シーンを格段に広げることでしょう。

全国ローソンでの先行販売がもたらすインパクト

今回の全国のローソンでの先行販売は、「サマーフォール ゆず」をより多くの消費者に届ける上で非常に大きな意味を持ちます。コンビニエンスストアという身近なチャネルを通じて販売されることで、これまで日本酒に馴染みがなかった層にも、気軽に手に取ってもらえる機会が格段に増えるからです。7月22日の本格発売に先駆けてローソンで手に入るというニュースは、日本酒ファンのみならず、好奇心旺盛な消費者にとっても大きな話題となることでしょう。

WAKAZEは、これまでの活動を通じて、日本酒の多様な可能性を世界に示してきました。今回の「サマーフォール ゆず」のリリースは、その哲学をさらに推し進め、日本国内においても、日本酒の飲用スタイルに新たな選択肢を提示するものです。

まとめ

フランス・パリで培われたWAKAZEの革新的なスピリットと、日本の豊かな素材、そして白麹とワイン酵母による独創的な醸造技術が融合して生まれたスパークリング日本酒缶「サマーフォール ゆず」。その爽やかな香りと心地よい泡立ちは、夏の暑さを忘れさせてくれるような、まさに「飲む香水」とも呼べる逸品です。

本日より全国のローソンで先行販売開始されたこの「サマーフォール ゆず」は、日本酒の新たな扉を開き、より多くの人々に日本酒の魅力を伝える役割を担うことでしょう。クラフトサケとして世界が注目するWAKAZEが贈る、この新しい挑戦をぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

おいしい日本酒が見つかる最新トレンドと飲み方ガイド

日本酒文化を世界へ!国分グループ本社が仕掛ける「高付加価値な酒蔵体験」でインバウンド誘致を強化

国内の人口減少に伴い、日本酒の国内消費量が減少傾向にある中、その魅力を世界に発信する動きが活発化しています。特に、増加の一途を辿る訪日外国人観光客、とりわけ富裕層をターゲットに、彼らが求める「唯一無二の体験」を提供することで、日本酒文化の国際的な認知度向上と地方創生に貢献しようとする新たな取り組みが注目されています。

食品卸大手の国分グループ本社は、この課題に対し、訪日外国人向けグルメプラットフォーム「byFood(バイフード)」を運営する株式会社テーブルクロスと連携し、「高付加価値な日本の酒蔵体験」の提供に向けた協業を開始しました。この画期的なプロジェクトは、2025年6月30日に発表され、日本酒業界に新たな風を吹き込むと期待されています。

なぜ今、「酒蔵体験」が注目されるのか?

この取り組みの背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、2025年の訪日外国人観光客数は過去最高を記録する見込みであり、旅行者のニーズは量から質へと変化しています。特に、富裕層は一般的な観光地巡りだけでなく、その土地ならではの文化や歴史に深く触れる「体験型旅行」を強く求めています。

そして、2024年11月に「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことは、日本酒への世界的な関心を一層高めました。これにより、日本の酒蔵を訪れ、その製造工程や歴史、そして造り手の情熱に触れる「酒蔵体験」は、訪日外国人にとって非常に魅力的なコンテンツへと変貌を遂げています。

国分グループ本社は、全国各地の酒蔵との強固なネットワークを持つ一方、テーブルクロスは「byFood」を通じて世界中の日本食ファンにリーチできるという、双方の強みを最大限に活かすことで、この新たな需要に応えようとしています。

プロジェクトの核心:高付加価値な体験創出と戦略的プロモーション

この協業の具体的な取り組みは、多岐にわたります。

  1. 徹底的なニーズ調査の実施 byFoodが持つ約20万人以上のユーザーネットワーク、特に訪日外国人からのアンケート調査を通じて、彼らが酒蔵体験に何を求め、どのような付加価値に魅力を感じるのかを綿密に把握します。これにより、単なる見学ではない、真に求められる体験コンテンツの企画・造成へと繋げます。
  2. 地域に根ざした体験コンテンツの企画・造成 国分グループ本社は、全国各地の酒蔵と連携し、それぞれの地域が持つ独自の歴史、風土、そして文化を深く掘り下げた特別な体験プログラムを開発します。例えば、特定の米を使った酒造り体験、蔵元との特別な食事会、限定酒のテイスティング、あるいは地域の伝統工芸とのコラボレーションなど、参加者がその土地の魅力を五感で感じられるような、付加価値の高い体験を創出します。
  3. 世界に向けた多言語対応プロモーション 開発された高付加価値な体験コンテンツは、byFoodのプラットフォームを通じて積極的にプロモーションされます。特に、登録者数20万人を超えるYouTubeチャンネルでの動画配信や、Instagram「Japan by Food」をはじめとするSNSネットワーク(合計で月間約1,000万人以上)を駆使し、日本酒や日本文化に深い関心を持つ訪日前の外国人旅行者に、ダイレクトかつ効果的に情報を届けます。多言語での情報発信により、言語の壁を越えて日本酒の魅力を伝えます。

国分グループ本社の狙いと未来への展望

このプロジェクトは、国分グループ本社が推進する「国分グループ オープンイノベーションプログラム2024」の一環として採択されたものであり、同社の変革への意欲を示すものです。

国分グループ本社は、この取り組みを通じて、単に日本酒を販売するだけでなく、その背景にある文化やストーリー、そして地域の魅力を総合的に発信することで、日本酒の新たな価値を創造しようとしています。

今後、体験提供地域を順次拡大し、訪日外国人にとっての「日本酒との出会い」をより深く、感動的なものとするツアー体験を整備していく予定です。また、体験に参加した外国人旅行者がSNSで情報を発信したり、レビューを蓄積したりすることで、地域と世界をつなぐ循環型のプロモーションモデルを確立することを目指しています。

この協業は、日本酒文化の持続的な発展と、その国際的な認知度向上に大きく貢献する可能性を秘めています。地方の酒蔵にとっては、新たな収益源の確保と地域経済の活性化に繋がり、訪日外国人にとっては、日本の奥深い文化に触れる貴重な機会となります。国分グループ本社とテーブルクロスが描く未来は、日本酒が単なる飲み物ではなく、世界の共通言語として文化と感動を届ける存在となる日を予感させます。

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七夕に願いを込めて:「DATE SEVEN SEASON2 Episode4」が拓く日本酒の新たな地平

七夕の夜空に、織姫と彦星が年に一度の再会を果たすロマンチックな季節。2025年7月7日、この特別な日に、日本酒ファンが待ち望んだ新たな章が幕を開けます。「DATE SEVEN SEASON2 Episode4」のリリースは、単なる新商品の発表に留まらず、日本酒の未来、そして蔵元の連携が織りなす新たな可能性を、星空のように輝かせる出来事となるでしょう。

「DATE SEVEN」とは、宮城県を代表する七つの実力派蔵元が、それぞれの持ち味を活かしながら一つのテーマに向かって酒を醸す、夢のような共同プロジェクトです。参加蔵元は、仙台伊澤家勝山酒造(勝山)、墨廼江酒造(墨廼江)、寒梅酒造(宮寒梅)、新澤醸造店(伯楽星)、山和酒造店(山和)、萩野酒造(萩の鶴)、川敬商店(黄金澤)。彼らが各々異なる得意分野――原料米、麹、酵母、酒母、醪管理、上槽、貯蔵熟成――を担当し、互いの技術と個性を尊重しながら、唯一無二の日本酒を創造していきます。まさに、七つの星がそれぞれの光を放ちながら、一つの星座を形成するように、彼らは日本酒の新たな境地を切り拓いているのです。

これまでの「DATE SEVEN」シリーズは、その革新的な試みと、参加蔵元それぞれの技術が融合した高品質な酒質で、常に日本酒業界の注目を集めてきました。毎年異なるテーマやアプローチで造られるため、リリースされるごとに新たな発見と感動が提供され、多くの愛好家を魅了し続けています。そして今回の「SEASON2 Episode4」は、その期待をさらに超えるものとなるでしょう。

七夕の夜に込められた「DATE SEVEN」の想い

なぜ、今回のリリースが七夕とこれほどまでに深く結びつくのでしょうか。

第一に、七つの蔵元という「七」の数字は、まさに七夕の「七」と重なります。織姫と彦星が一年間の離れ離れを経て、ようやく出会うように、七つの蔵元がそれぞれの技術と情熱を持ち寄り、一つの酒を完成させる。そのプロセスは、まさに再会と融合の物語であり、七夕の精神と深く共鳴します。

第二に、七夕は願いを込める日です。短冊に願い事を書いて笹の葉に吊るすように、「DATE SEVEN」の蔵元たちも、日本酒のさらなる発展、そして世界への発信という大きな願いを込めて、この酒を世に送り出します。彼らの願いは、この一本の酒を通して、日本酒の魅力をより多くの人々に届け、その文化を未来へと継承していくことにあるのです。

そして第三に、七夕の物語は、努力と試練の先に訪れる喜びを描いています。「DATE SEVEN」の酒造りもまた、各蔵元がそれぞれの持ち場で最高のパフォーマンスを発揮し、時には困難に直面しながらも、それを乗り越えて一つの高みを目指す、まさに不断の努力の結晶です。七夕の夜にこの酒を味わうことは、彼らの情熱と努力に思いを馳せ、その先に生まれた奇跡の味わいを享受することに他なりません。

「SEASON2 Episode4」が拓く新たな地平

今回の「SEASON2 Episode4」がどのようなコンセプトで、どのような味わいを目指しているのかは、まだ多くがベールに包まれています。しかし、「DATE SEVEN」のこれまでの実績を鑑みれば、きっと私たちは驚きと感動に満ちた一本に出会えるはずです。

考えられるのは、例えば、季節の移ろいを表現した繊細な香りや味わいかもしれません。七夕の夜空を思わせるような、星屑のようにきらめく透明感と奥行きのある酒質かもしれません。あるいは、この時期に旬を迎える食材とのペアリングを強く意識した、食中酒としての完成度を追求した一本かもしれません。

技術的な側面では、これまで培ってきた共同醸造のノウハウがさらに洗練され、各蔵元の得意分野がより高次元で融合していることが期待されます。例えば、特定の酵母の特性を最大限に引き出すための麹造りの工夫、あるいは貯蔵熟成における新たなアプローチなど、これまで以上に緻密で革新的な挑戦がなされている可能性もあります。

また、「SEASON2 Episode4」のリリースは、現在活発に議論されている日本酒製造免許の規制緩和にも一石を投じる可能性があります。「DATE SEVEN」のような蔵元間の協力体制は、既存の枠組みの中でいかに新たな価値を生み出すかという点で模範を示しています。同時に、このようなプロジェクトがより自由に、そして柔軟に行われるための制度的支援の重要性も改めて浮き彫りになるでしょう。新規参入を検討する若い世代にとって、このようなコラボレーションは、多様な技術と知見に触れる貴重な機会となり、将来の日本酒業界を活性化させる原動力となるはずです。

七夕の夜、満天の星が輝くように、「DATE SEVEN SEASON2 Episode4」は、日本酒の新たな可能性を照らし出し、私たちに夢と希望を与えてくれることでしょう。この一本の酒を通して、日本酒の奥深さ、そして蔵元たちの情熱と技術の結晶を、心ゆくまで味わってみてはいかがでしょうか。織姫と彦星の再会を祝う夜に、私たちは「DATE SEVEN」が紡ぐ新たな物語を、グラス片手に静かに、そして熱く見守りたいと思います。

▶ 「DATE SEVEN SEASON2 Episode4」の詳細

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世界を席巻する「haccoba」クラフトサケが拓く日本酒の新たな地平

福島県南相馬市小高に拠点を構える革新的な酒蔵「haccoba(ハッコウバ)」が、そのユニークな「クラフトサケ」で世界市場での存在感を急速に高めています。アジア圏での確かな足場を築きつつ、今年2025年春からは欧米への本格的な輸出も開始。その勢いは、直近の海外イベントでの目覚ましい成果によってさらに加速しています。

haccobaは、2021年2月に原発事故で一時人口がゼロになった小高の地で、「酒づくりをもっと自由に」という理念のもと創業しました。伝統的な日本酒の枠にとらわれず、かつての「どぶろく」文化を現代的に再解釈し、副原料の使用や独自の醸造方法を取り入れることで、これまでにない味わいと体験を提供する「クラフトサケ」という新ジャンルを確立しています。2023年7月には隣町の浪江にも醸造所を設け、生産規模を拡大しています。

「クラフトサケ」とは? 日本酒の新たな可能性

haccobaが提唱し、その海外戦略の核となっている「クラフトサケ」とは一体何でしょうか。これは、一般的な日本酒の定義(米、米麹、水のみを原料とし、清酒酵母で発酵させ、ろ過したものであることなど)にとらわれず、果物、ハーブ、スパイスなどの副原料を使用したり、異なる発酵方法や酵母を取り入れたりすることで、多様なアプローチから新しい味わいを追求する、自由な発想の酒を指します。

伝統的な日本酒が守り継いできた規範を尊重しつつも、より広範な食文化やライフスタイルに寄り添い、新たな飲用シーンを創出することを目指しています。例えば、haccobaでは「ホップ酒」「スモークモルトを使ったSake」「梅酒粕を発酵させたSake」など、多様なクラフトサケを世に送り出し、日本酒の持つ可能性を大きく広げています。こうした固定観念にとらわれない柔軟な姿勢が、国内外の多様な消費者の心をつかむ要因となっています。

香港での目覚ましい成功と国際的な評価

そのグローバル展開の成功を象徴する出来事が、2025年6月上旬に香港で開催された日本酒イベント「若手の夜明け 香港 2025(SAKEJUMP HONG KONG 2025)」でした。このイベントは、日本の若手醸造家たちが自慢の酒を披露する国際的な舞台であり、haccobaはここで見事「売上1位」という輝かしい実績を記録しました。香港の日本酒愛好家や現地の飲食店関係者たちが、haccobaの革新的な酒造りとその魅力に強く惹きつけられた証と言えるでしょう。

さらに、haccobaの快進撃はこれに留まりません。権威ある「ICC SAKE AWARD」の予選ラウンドでは、並み居る強豪蔵を抑え、堂々の「1位通過」を果たしました。これは、単なる人気だけでなく、その品質と技術、そして未来への可能性が専門家からも高く評価されていることを示しています。革新的な酒造りでありながらも、日本酒としての高い品質基準を満たしていることが、国際的な舞台で証明された形です。

アジアから欧米へ、世界を見据えるhaccoba

これまでタイ、香港、シンガポール、台湾といったアジア圏で着実に販路を拡大してきたhaccobaは、特に台湾では輸出開始からわずか3ヶ月でミシュラン掲載店を含む20店以上に納入するなど、その品質と独自性が高く評価されてきました。アジア市場での成功が、欧米市場への進出に大きな自信を与えています。

そして、2025年春からは、満を持してアメリカ、オランダ、ドイツといった欧米市場への輸出も本格的にスタートしました。各国のパートナーと連携し、現地の飲食シーンや流通構造に合わせた商品展開を積極的に進めています。アメリカ市場への挑戦においては、2024年に経済産業省の起業家育成・海外派遣プログラム「J-StarX Food Frontiers USA」の第1期にhaccobaが採択され、国からもその事業モデルとグローバルな成長可能性が高く評価されています。

福島という地の歴史と向き合いながら、固定観念にとらわれない自由な発想で酒造りの新たな可能性を追求するhaccoba。「日本酒が、世界各地で土着の“Sake”になる未来を描けたら嬉しい」という彼らの思いは、日本の伝統的な酒造りの概念を超え、グローバルな飲食文化に貢献しようとする強い意志の表れです。香港での成功を足がかりに、haccobaの「クラフトサケ」が世界のSakeシーンに新たな風を巻き起こす日も近いでしょう。

▶ haccoba のサケ

おいしい日本酒が見つかる最新トレンドと飲み方ガイド

The Taste of Water ―― 日本酒の深淵に迫るアニメーションドキュメンタリーが始動

【東京、2025年7月4日】 「日本酒は、まるで水だ」。この一見素朴な、しかし奥深い父の言葉をきっかけに、日本酒の真髄を探求する革新的なアニメーションドキュメンタリー『The Taste of Water(ザ・テイスト・オブ・ウォーター)』が世界の注目を集めています。漫画家が自らのルーツと向き合いながら日本酒の魅力を紐解いていく本作は、単なるドキュメンタリーの枠を超え、日本文化の深層を映し出す芸術作品として、その制作発表時から高い期待が寄せられています。

本作は、2025年7月より撮影を開始し、完成は2026年春を予定しているとのことです。本日7月4日の時点で、既に国内外から大きな関心が寄せられているといいます。特に、そのユニークな表現手法と、日本酒というテーマを深く掘り下げる姿勢が、国境を越えて多くの人々の注目を集めているようです。

物語の主人公は、自身のキャリアに悩み、ある日突然、父が残した「日本酒は水のようだ」という言葉の意味を理解しようと旅に出る漫画家です。彼が訪れるのは、雪深い山間の小さな酒蔵、都会の片隅にひっそりと佇む老舗の酒販店、そして日本酒をこよなく愛する人々が集う居酒屋。それぞれの場所で出会う人々との対話を通して、日本酒が単なるアルコール飲料ではないこと、それが日本の風土、歴史、そして人々の暮らしと密接に結びついていることを、彼は肌で感じ取っていきます。

本作で最も注目すべきは、その革新的なアプローチです。日本酒のドキュメンタリーでありながら、全編をアニメーションで表現するという大胆な試みがなされています。これにより、実写では伝えきれない、日本酒が持つ精神性や繊細な味わいの世界観を、より豊かに描き出すことが可能になります。水と米が織りなす神秘的な変化、発酵の過程で生まれる微細な泡立ち、そして熟成によって深まる香りのニュアンスまで、アニメーションならではの色彩と動き、そして音響効果を駆使し、観る者の五感に訴えかけるような表現が期待されます。まるで日本酒の息づかいを肌で感じるかのような、これまでにない没入体験を提供してくれることでしょう。

監督を務めるのは、アメリカから日本に移住してきた異色のクリエイター、大神田リキ氏です。彼女は映画監督、小説家、タレント、女優と多岐にわたる顔を持ち、その多様な経験が本作の制作にも大きく影響していることでしょう。大神田監督は、このドキュメンタリーを通して、日本酒の透明さ、そしてその奥に秘められた無限の可能性を伝えたいと考えているようです。また、日本酒の精神性は物質的な側面だけでは語りきれず、感情や記憶、哲学といった抽象的な要素を表現するにはアニメーションが最も適しているとの考えから、この手法を選んだといいます。

本作は、日本酒愛好家はもちろんのこと、これまで日本酒に馴染みがなかった人々にもその魅力を伝える力を持っています。日本酒造りの背景にある職人たちの情熱や哲学、地域ごとの多様性、そして日本酒を通じて育まれる人々の繋がりなど、多角的な視点から日本酒を深掘りすることで、観る者に新たな発見と感動を与えてくれることでしょう。

『The Taste of Water』は、単に日本酒を紹介する作品ではありません。それは、日本の精神性、自然との共生、そして世代を超えて受け継がれる文化の美しさを描いた、普遍的なテーマを持つ作品です。このアニメーションドキュメンタリーが、世界中で日本酒ブームをさらに加速させ、日本の文化に対する理解を深めるきっかけとなることは間違いないでしょう。2026年春の完成、そしてその後の劇場公開や配信プラットフォームでの展開に、大きな期待が寄せられています。

『The Taste of Water』公式サイト

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飛騨の自然が育む至宝「雪中酒」 出荷開始!~老舗「渡辺酒造」と地域の協働が生む、深雪熟成の神秘~

岐阜県飛騨市河合町で、冬の深い雪の中でじっくりと熟成された日本酒「雪中酒」の出荷が、7月2日に始まりました。この地域ならではの伝統的な貯蔵方法で磨き上げられた秘蔵の酒は、老舗酒蔵である有限会社渡辺酒造の確かな技術と、飛騨市河合町の地域振興を担う株式会社飛騨ゆいの連携によって生み出されています。

「雪中酒」の製造は、まず飛騨市古川町に蔵を構える渡辺酒造が、「蓬莱」の銘柄で知られる彼らの熟練の技をもって、厳冬期に新酒を仕込むことから始まります。この新酒が、飛騨市河合町にある「飛騨かわい やまさち工房」(株式会社飛騨ゆいが運営)が管理する「雪室」へと運ばれ、本格的な熟成期間に入ります。

雪室とは、その名の通り、地域の豊富な積雪を最大限に活用した天然の冷蔵庫です。飛騨市河合町は豪雪地帯であり、この自然の恵みを活かし、雪室内部は年間を通じてほぼ一定の低温(0℃前後)かつ高湿度の状態に保たれます。この環境が、日本酒の熟成に最適な条件を提供します。人工的な冷蔵設備とは異なり、雪の冷気は非常に穏やかに酒を冷やし、ストレスを与えることなく、約4カ月間もの長期間にわたってゆっくりと熟成を進めます。

この雪室熟成によって、酒は驚くべき変化を遂げます。新酒特有の荒々しさが消え、角が取れて口当たりがまろやかになり、雑味が抑えられます。そして、米本来の旨味や香りがより一層引き出され、奥行きのある複雑な味わいへと昇華していくのです。生酒のフレッシュな特性は保ちつつも、香りがふくよかになり、舌触りが絹のようになめらかになるのが、雪中酒ならではの魅力です。

今年の「雪中酒」は、昨年12月から今年1月にかけて仕込んだ純米吟醸酒や純米酒などが中心です。特に今年は、雪室の環境が非常に安定していたため、例年以上にバランスの取れた、非常に良い仕上がりとなったと言います。口に含むと、最初に華やかな香りが広がり、その後、米本来の優しい旨味がじわりと現れます。雪室熟成によるまろやかな口当たりと、清涼感のある後味は、暑い夏にこそ味わっていただきたい逸品です。

「雪中酒」の出荷開始は、単なる季節限定の日本酒販売にとどまらず、地域の気候風土を活かした持続可能な酒造りのモデルとしても注目されています。豪雪という一見ネガティブに捉えられがちな自然条件を、付加価値の高い商品を生み出す資源として活用する発想は、地方創生の好事例と言えるでしょう。また、近年消費者の間で高まる「テロワール(地域性)」や「ストーリー性」を重視するニーズにも合致しており、単なる飲料としてだけでなく、その背景にある文化や地域の魅力を伝える存在としても期待されています。

この飛騨の「雪中酒」は、夏の旬の食材との相性も抜群です。冷やして、刺身や冷奴といった和食はもちろん、夏野菜を使った料理や、さっぱりとした鶏肉・豚肉料理など、幅広い料理に合わせてお楽しみいただけます。冷酒としてワイングラスに注ぐことで、その繊細な香りや味わいをより一層深く堪能できるでしょう。

岐阜県飛騨市の「雪中酒」は、地元の酒販店や百貨店、オンラインショップなどで数量限定で販売されます。毎年高い人気を誇り、早期に品切れとなることも少なくありません。ぜひこの機会に、飛騨の深い雪が育んだ、奇跡の一本を手に入れて、心ゆくまでその贅沢な味わいを体験してみてはいかがでしょうか。日本の伝統的な知恵と自然の恵みが融合した「雪中酒」は、きっと今年の夏の食卓を彩る、忘れられない一本となることでしょう。

炭酸割専用日本酒「サワードッグ」が問いかける、日本酒の新たな地平~高まる“酒ハイ”人気と伝統の融合~

2025年7月1日、秋田県の老舗酒蔵、福乃友酒造から画期的な新商品「福乃友 炭酸割専用純米酒 サワードッグ」が発売されました。このユニークな日本酒は、近年急速に高まる「酒ハイ」人気、すなわち日本酒の炭酸割りという新しい飲用スタイルへの注目と密接に関連しており、伝統的な日本酒の世界に新たな風を吹き込むものとして大きな注目を集めています。

近年、若者を中心にアルコールの楽しみ方が多様化する中で、特に「酒ハイ」と呼ばれる日本酒の炭酸割りが急速に人気を集めています。日本酒を炭酸で割ることで、特有の芳醇な香りはそのままに、より軽やかで飲みやすい口当たりとなり、日本酒に馴染みのなかった層からも支持を得ています。居酒屋のメニューで定番となるだけでなく、自宅で気軽に楽しむスタイルも定着しつつあります。

このような市場の動きをいち早く捉え、福乃友酒造が満を持して投入したのが「サワードッグ」です。同社は長年培ってきた酒造りの技術を活かし、炭酸で割ることを前提とした味わいを追求。一般的に日本酒は、そのままで最高の状態を楽しめるよう醸造されますが、「サワードッグ」は炭酸と混ざり合うことで、その真価を発揮するように設計されています。具体的には、炭酸で割った際に日本酒の旨味や香りが薄れることなく、むしろ爽快感とともに引き立つように、米の旨味をしっかり残しつつも後味はすっきりとキレが良いバランスに調整されています。

福乃友酒造の担当者は、「従来の日本酒のイメージにとらわれず、もっと気軽に、もっと自由に日本酒を楽しんでいただきたいという思いから開発に着手しました。特に、若い世代の方々にも日本酒の魅力に触れていただくきっかけになれば嬉しいです」と語っています。

「サワードッグ」の登場は、単なる新商品にとどまらず、日本酒業界全体に大きな示唆を与えています。これまで「特別な日の酒」や「年配の酒」といった固定観念が強かった日本酒が、炭酸割りという手軽な方法で日常のカジュアルなシーンにも溶け込み始めている現状を明確に示しているからです。

酒ハイ人気の高まりの背景には、消費者の健康志向の高まりも指摘されています。ビールと比較して、日本酒はプリン体含有量が比較的低いとされる場合もあり、健康を意識しつつもアルコールを楽しみたいというニーズに合致している側面もあります。また、日本酒には様々な味わいがあり、炭酸で割ることでさらに多様な表情を見せるため、自分好みの組み合わせを探すという楽しみ方も生まれています。

「サワードッグ」は、日本酒の伝統的な魅力と、現代の消費者のライフスタイルや嗜好を見事に融合させた商品と言えるでしょう。この発売を機に、日本酒の新たな飲用シーンがさらに広がり、これまで日本酒を敬遠していた層にも日本酒の奥深さや楽しさが伝わることを期待せずにはいられません。日本酒の未来を担う新たなムーブメントとして、「サワードッグ」がどのような影響を与えていくのか、今後の展開に注目が集まります。

▶ 福乃友 炭酸割専用純米酒 サワ―ドッグ