両国駅「おでんで熱燗ステーション」開催~おでんと熱燗の歴史から読み解く日本酒文化

寒さが身にしみる季節、東京・JR両国駅の『幻の3番線ホーム』がまた冬の風物詩に彩られています。2026年1月29日(木)から2月1日(日)までの期間限定で、駅構内に 「おでんで熱燗ステーション」 がオープンしました。赤ちょうちんにこたつ席、熱々のおでんと全国から集まった熱燗の数々――昭和の大衆居酒屋を思わせる空間が、普段は入ることができないホームに出現しています。

このイベントは、 全国燗酒コンテスト2025 で入賞した銘柄を中心に、日本各地の酒蔵が選りすぐりの熱燗を提供することを目的としています。参加者は前売りチケット(3,500円)で おでん一人前、チーちくⓇ、ぐい呑み、日本酒試飲10杯分 を楽しむことができ、60分ごとの入れ替え制でさまざまな味覚の組み合わせを堪能できます。

おでんと日本酒――冬の定番コンビのルーツ

日本酒とおでんという組み合わせは、単なる冬の定番を越えた、 長い歴史と文化的背景 を持つペアです。

そもそも日本酒は、奈良・平安時代から神事や祝宴で楽しまれ、江戸時代には町人文化とともに幅広い層に広まっていきました。延喜式(平安時代中期)には「温酒器(おんしゅき)」や「銀瓶(ぎんぴょう)」といった酒を温めるための道具についての記述もあり、寒い季節に酒を温める風習は早くから日本人の間に定着していたことが知られています。

さらに江戸時代には、 温めた日本酒を一年を通じて楽しむ文化が一般化し、専門の酒温め役「お燗番(おかんばん)」が存在した とされます。この時代には、温め方や温度による風味の違いを楽しむ嗜みが発展し、庶民の暮らしに深く根付いていたことも知られています。

おでんの起源については、室町時代の「豆腐田楽」にあるとする説が有力です。「田楽(でんがく)」に宮中言葉の「お」をつけて「おでん」となり、江戸時代になると、串刺しスタイルなど、ファストフードスタイルが定着して町民の間で大人気となりました。

ところで、日本酒とおでんの組み合わせの妙は、 味わいの相互補完性 にあります。だしが効いたおでんの旨味は、温められた日本酒と非常によく合い、酒の甘味や香りを引き立てるのです。また、温かい料理と酒のぬくもりが体を芯から温めるため、厳しい冬の夜にふさわしい組み合わせとなりました。

幻のホームで味わう非日常の体験

「おでんで熱燗ステーション」は、こうした日本酒とおでんの歴史的な結びつきを体験として具現化したイベントとも言えます。1972年に総武快速線が開通したことにより廃止され、普段は立ち入ることができなくなった 『幻の3番線ホーム』 を特別に開放し、昭和レトロな雰囲気のなかで味わうこのスタイルは、単なる試飲会以上の文化体験です。ホームにこたつが配置され、赤ちょうちんの下で列車の往来を感じながらいただく一杯は、まるで時代を越えた旅に出たかのようなひとときを演出します。

提供される熱燗は、すべて全国燗酒コンテスト入賞酒。燗酒の多様な味わいを知ることができる点も、本イベントの魅力です。温度によって風味が変化する日本酒の奥深さに触れ、素材の味を引き出すおでんとの相性を楽しむことで、改めて日本の食文化の豊かさを実感できる企画となっています。

また、参加者には日本酒の知識を持つスタッフによる解説もあり、初心者でも気軽に熱燗の世界に親しむことができる企画です。駅という日常の空間が、一夜限りの『大衆文化の祭典』として変貌するこのイベントは、冬の東京における新たな人気スポットとなっています。

冬の日本酒文化を体感

イベント期間中、予約は早々に埋まるほどの人気で、「昭和レトロ」「おでん×日本酒の相性」への再評価の声も多く聞かれます。おでんと熱燗という日本の冬の定番を、伝統と遊び心を交えて体験できるこの催しは、改めて 日本酒文化の奥深さと親しみやすさ を感じさせます。

寒さが続くこの季節、こたつで味わうおでんと熱燗の組み合わせは、体を温めるだけでなく、日本の歴史と文化を感じるひとときとして、多くの人々を魅了しています。

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