日本酒の常識を覆す革新「凍眠生酒」:TOMIN SAKE COMPANYが拓く新たな可能性

【東京、2025年7月11日】日本酒の世界に、新たな地平を切り拓く革新的な技術が注目を集めています。富山県高岡市に本社を構える株式会社TOMIN SAKE COMPANYが展開する「凍眠生酒」です。急速液体冷凍機「凍眠」を用いたこの画期的な製法は、これまで酒蔵でしか味わえなかった搾りたてのフレッシュな生酒を、全国はもとより世界中の愛飲家へ届けることを可能にし、日本酒の流通と楽しみ方に大きな変革をもたらしています。

究極の鮮度を閉じ込める「凍眠」技術

「凍眠生酒」の核となるのは、関連会社株式会社テクニカンが開発した急速液体冷凍機「凍眠」です。従来の冷凍技術が空気を使って凍らせるのに対し、「凍眠」はマイナス30℃以下の液体(アルコール溶液)に浸すことで、食品が凍る最大氷結晶生成帯を極めて短時間で通過させます。これにより、細胞組織へのダメージを最小限に抑え、解凍後の品質劣化を防ぐことができるのです。この技術を日本酒に応用することで、搾りたての風味や香りを損なうことなく、瓶ごと瞬間冷凍し、まさに「時を止めた」かのような状態で保存・流通を実現しています。

日本酒の生酒は、火入れ(加熱殺菌)を一切行わないため、デリケートで品質管理が難しいという特徴があります。通常、生酒は冷蔵保存が必須であり、賞味期限も短いため、遠隔地への輸送や長期保存は困難でした。しかし、「凍眠生酒」は、製造から直ちに冷凍することで、酒質変化の要因となる酸素との接触や温度変化を極限まで抑え込み、解凍後も、まるで搾りたてのようなフレッシュな味わいを実現したのです。これにより消費者は、自宅で、または飲食店で、まるで酒蔵訪問したかのような体験を得られるようになりました。

2023年5月19日発売開始

「凍眠生酒」は、2023年5月19日に初めて市場に登場しました。テクニカンが手掛ける冷凍食品セレクトショップ「TOMIN FROZEN」のECサイトにて先行販売が開始され、翌日からは横浜の実店舗でも販売・試飲イベントが開催されました。

最初のリリースでは、日本酒「獺祭」で知られる旭酒造の「獺祭 純米吟醸磨き三割九分寒造早槽」をはじめ、南部美人(岩手県)、天吹酒造(佐賀県)など、全国26の蔵元とコラボレーションした36銘柄が同時に販売開始されました。これにより消費者は、一度に多様な蔵元の「凍眠生酒」を体験できる機会を得ることとなりました。

さらに今年3月、公式オンラインストアをリニューアルオープンし、凍眠生酒を含む取り扱い商品をさらに拡充。加えて今月、帝国ホテルのオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」でも取り扱いが始まり、より幅広い層の消費者にその魅力が届くようになりました。

地域と日本酒の新たな架け橋

TOMIN SAKE COMPANYは、サッポロビールや月桂冠といった大手メーカーの特約店であると同時に、富山・石川・福井の地酒に精通する老舗です。同社が「凍眠生酒」事業に注力する背景には、単なるビジネスチャンスだけでなく、地域文化としての日本酒への深い愛情と、その魅力をより多くの人に伝えたいという強い想いがあります。

同社ではこれを、日本酒のテロワールを未来へつなぐ技術だと考えています。酒蔵の想いや、その土地ならではの米、水、気候が育んだ唯一無二の味わいを、劣化させることなく消費者に届ける―――これは、日本酒の新たな可能性を切り拓く上で、非常に重要な技術になるはずです。

特に、知名度は高くなくとも品質の高い地酒は、これまで流通の壁に阻まれ、その魅力を十分に伝えきれていなかったケースも少なくありません。「凍眠生酒」は、そうした隠れた名酒に光を当て、全国そして世界へと販路を拡大する強力なツールとなります。

日本酒文化の未来を創造する挑戦

「凍眠生酒」は、単なる冷凍日本酒ではありません。それは、日本酒の品質管理、流通、そして楽しみ方そのものに革新をもたらす、未来志向の挑戦です。TOMIN SAKE COMPANYは、この技術を通じて、これまで以上に多様な日本酒を世界に紹介し、その奥深さや魅力を広く伝える役割を担っています。

日本酒業界は、伝統を守りながらも常に進化を続けています。その中で、「凍眠生酒」が描く未来は、まさに無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。TOMIN SAKE COMPANYの挑戦が、日本の誇るべき酒文化を、これからも世界へと発信し続けることを期待しています。