「宵火」、久留米焼きとりに捧ぐ至福の一献

福岡県久留米市に、食通たちの熱い注目を集める新たな日本酒が誕生しました。その名も「宵火(Yoibi)」。久留米が誇るB級グルメの王者、久留米焼きとりとの最高のペアリングを目指して開発されたこの酒は、早くも地元の飲食店関係者や愛飲家の間で話題を呼んでいます。

久留米焼きとり、その奥深き世界と「100年フード」認定

久留米市は、実は日本有数の焼きとり文化を持つ街です。単に鶏肉を串に刺して焼くだけでなく、豚、牛、魚介、野菜など、バラエティ豊かな食材が使われ、その種類は数百にも及ぶと言われています。それぞれの素材に合わせた焼き加減や味付け、そして提供されるタレや薬味の工夫など、久留米焼きとりは奥深い食文化を形成しています。豚バラやダルム(豚の直腸)、鳥皮など、独特の名称を持つ串も多く、地元の人々にとっては日常に欠かせないソウルフードとなっています。

そんな久留米焼きとりが、2025年3月に文化庁の「100年フード」に認定されました。これは、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を保護・継承する目的で設けられた制度です。この認定は、久留米焼きとりが単なるB級グルメに留まらず、地域の歴史と文化を色濃く反映した、未来へ継承すべき大切な食文化であることを改めて示す出来事となりました。

「宵火」誕生秘話:100年フード認定が後押しした新たな挑戦

「宵火」を開発したのは、久留米市で酒類販売を手掛けるIZUMIYAです。久留米焼きとりの「100年フード」認定は、この地元の酒販店にとって大きな喜びであり、同時にこの素晴らしい食文化をさらに盛り上げていきたいという強い使命感をもたらしました。久留米焼きとりは、脂の乗ったものからあっさりしたもの、塩味、タレ味と非常に幅広い味わいを持つため、従来の日本酒では相性の良い串が限られるという課題がありました。そこで、より多くの串と調和し、それぞれの美味しさを引き立てるような、久留米焼きとりのための日本酒を造るという強い思いが芽生えました。

この構想のもとIZUMIYAは、久留米で「庭のうぐいす」を醸造する山口酒造場に協力を依頼しました。山口酒造場は、創業以来、地域に根差した酒造りを行い、国内外で高い評価を受ける実力派の蔵元です。両者は、久留米焼きとりの様々な串を食べ比べ、どのような酒質が最適かを徹底的に議論しました。「100年フード」認定後の機運の高まりも背景に、短期間で集中的な試行錯誤を重ね、ついに理想の日本酒「宵火」が完成しました。

「宵火」の酒質:久留米焼きとりのための設計思想

「宵火」は、発泡感のある純米吟醸酒として仕込まれています。麹米には糸島産の山田錦、掛米には久留米産の夢一献を使用。久留米焼きとりの特徴である脂の旨味を受け止めるしっかりとした骨格を持ちながらも、後味は驚くほどすっきりとキレが良いのが特徴です。
その酒質は、口に含んだ瞬間に焼きとりの脂を洗い流し、次の串へと誘うような、“口内リフレッシュ”効果を意識して設計されています。

また、「宵火」は冷やして飲むのはもちろんのこと、ぬる燗でも楽しめるように設計されています。温めることで米の旨味がより一層引き立ち、タレ味の串や濃厚な味わいの串との相性が抜群に良くなります。様々な温度帯で楽しめることで、久留米焼きとりの多様な串に寄り添う懐の深さを実現しています。

久留米の夜を彩る「宵火」

「宵火」という名前には、「夜の帳が降り、焼きとりの煙が立ち上る頃、久留米の街で多くの人々が集い、この酒と共に楽しい時間を過ごしてほしい」という願いが込められているといいます。 昨日7月9日から久留米市内の焼きとり店約50店舗で提供が開始され、「串の味がより際立つ」「何杯でもいける」と、すでに多くのファンを獲得しているようです。

「100年フード」に認定され、その価値が再認識された久留米焼きとりの更なる魅力を引き出し、久留米の夜をより一層熱く彩るであろう日本酒「宵火」。久留米を訪れる際は、ぜひこの特別な一本と共に、奥深い焼きとり文化を存分に堪能してみてください。

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